森氏後任の新会長、仰天人事案が浮上する背景 橋本聖子五輪相が浮上、安倍前首相担ぎ出しも

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しかし、菅首相は12日夜、「国民から信頼され、歓迎される(会長の)決め方が大事」と森氏に伝えたことを明らかにした。菅首相は組織委顧問会議の最高顧問で、「顧問会議は組織委の運営に助言できる」と定められている。

菅首相はこれまで、「(組織委人事に)内閣総理大臣が口出しすべきではない」と繰り返してきた。しかし、事態の混乱が政権批判につながることへの危機感から方針を転換した格好だ。

ただ、菅首相は「透明に、ルールに基づいてという決め方については申し上げるべきだ」と強調する一方で、具体的な人選への関与については言及を避けた。

男女の共同代表案も浮上

一方、東京五輪主催者の小池百合子都知事は12日の記者会見で、「世界が見ている。手続きに透明性を持って進めてもらいたい」と力説。望ましい新会長像は「多様性と調和を自ら発信し、その先頭に立つ人」とし、性別にはこだわらない選出を強調した。

後継会長候補としては橋本氏のほか、元五輪担当相の丸川珠代参院議員(50)、競泳五輪金メダリストの鈴木大地・前スポーツ庁長官(53)、ハンマー投げ五輪金メダリストの室伏広治スポーツ庁長官、アーティスティックスイミング(シンクロ)銅メダリストの小谷実可子・組織委スポーツディレクター(54)らの名前が浮上している。

組織運営の経験を考慮し、バレーボール五輪銅メダリストの三屋裕子日本バスケットボール協会会長(62)や、プロ野球12球団オーナー会議で議長を務めたDeNA会長の南場智子氏(58)を推す声もある。男女の共同代表という案までも取りざたされており、まさに「誰を選ぶかはこれからの協議次第」(組織委幹部)だ。

「誰が会長になっても影響は限られる」(政府筋)との見方も多い。五輪開催のための運営準備は武藤事務総長ら実務部隊に委ねられており、「重大な判断が必要なのは、開催の可否を除けば、無観客とするか否かと観客を入れる場合の数くらい」(同)とされる。しかも、最終判断は「組織委ではなく、政府が決めることになる」(同)とみられている。

したがって、「新会長は森氏の女性蔑視発言による日本のイメージダウンを回復し、大会ビジョンの『多様性と調和』を世界にアピールするのが任務」(自民幹部)との見方も少なくない。「開催を前提とすれば、お飾りでもいい」(同)というわけだ。

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