森氏後任の新会長、仰天人事案が浮上する背景

橋本聖子五輪相が浮上、安倍前首相担ぎ出しも

3日の問題発言から9日目での森氏の退場は、「遅きに失したが、辞めないよりはまし」(枝野幸男立憲民主党代表)との受け止めが大勢だ。ただその後、森氏が川淵氏を後継に指名し、それが「密室談合」などの批判を浴び、川淵氏も就任辞退を表明。混乱はさらに拡大した。

会長職はそもそも、組織委の理事会で選任するのがルールだ。これを無視するかのような森氏の独断専行に「辞める人の後継指名などありえない」(自民幹部)との批判が噴出し、すべてを振り出しに戻しての会長選任を余儀なくされた。

合同懇談会の仕切り役を務めた武藤敏郎・組織委事務総長(元大蔵・財務省事務次官)は12日夜の記者会見で、「(新会長の資質としては)五輪・パラリンピックにおける何らかの経験が必要で、ジェンダー平等や多様性などへの認識の高さも求められる」と指摘した。

新会長は白紙からの選任に

そのうえで武藤氏は、新たに候補者検討委員会を設置する方針を表明。構成については「10人以内でアスリートも含めて男女半々」とし、委員長にはキヤノン会長兼社長CEOで組織委名誉会長の御手洗冨士夫氏(85)を充てる考えを示した。

新会長候補の具体名は「まったく上がっていない」(武藤氏)と白紙からの選任となるが、政府与党内からは夏冬合計で7回五輪に出場したスケート銅メダリストの橋本五輪相を有力視する声が相次ぎ、今後の人選は橋本氏を軸に進むとの見方も強まっている。

コロナの感染拡大で五輪の開催そのものが危ぶまれる中、大会準備への影響を最小限に抑えるため、組織委は「新会長を1週間以内に絞り込む方向」(幹部)で調整を進めている。検討委メンバーは非公表で、御手洗氏を中心に会長候補者を絞り込み、2月下旬の理事会で新会長を最終決定する方針とされる。

幻となった川淵新会長案について、2月12日の衆院予算委員会では野党が「密室での後継指名」を厳しく追及したが、橋本五輪相は「(森会長と川淵氏の間で)どのようなことが行われたかは一切、承知していません」と繰り返した。加藤勝信官房長官も記者会見で「大会組織委員会が独自に判断されるべきものというのが一貫した立場だ」などとかわした。

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