森氏後任の新会長、仰天人事案が浮上する背景 橋本聖子五輪相が浮上、安倍前首相担ぎ出しも
新会長選出は表向き組織委理事会の役割だが、橋本氏となれば「事実上、政府主導の人事」とみられるのは間違いない。与党内でも「橋本氏は『五輪の申し子』と呼ばれた女性アスリートで、五輪の顔に最適任」との声が相次ぐ。
ただ、橋本氏を会長に選ぶ場合は、五輪担当相の交代が前提となる。後継は菅首相が決めることになるが、政府部内では元五輪担当相で東京選挙区選出参院議員の丸川元五輪担当相の名前が取りざたされている。
丸川氏が五輪担当相に再登板することになれば、東京五輪の開催可否や具体的運営を詰める国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長とのいわゆる4者協議も、日本側は小池氏も含めて3人全員が女性となる。与党内では「森発言による日本の差別意識への批判や疑念を、一気に払拭できる顔ぶれになる」(有力閣僚)との期待も膨らむ。
橋本氏選出は「森氏の院政」に
さらに、橋本氏も丸川氏も細田派所属で、同派の事実上のオーナーとされる森氏だけでなく、橋本、丸川両氏を五輪相に起用した安倍氏の理解と協力も得やすい。
一方、いくら透明で公正、公平な手続きで橋本氏を選任しても、政治介入の印象は避けられない。橋本、丸川両氏は「森氏の子飼い」(細田派幹部)ともみられており、結果的に森氏の院政につながるとの見方も少なくない。
川淵氏が口にした「森氏を相談役に」という人事案も、もはやありえないというのが大方の見方だ。ただ、バッハ会長は依然として森氏の調整力に期待しているとされ、重要な局面での森氏の協力は不可欠との見方も多い。
もちろん、組織委やJOC、東京都を支えるのは政府で、後任会長選びでの連携は当然だが、「透明性が欠ければ非難は政府に集中する」(政府筋)。そもそも森氏の発言と謝罪会見を受けて、すぐさま森氏に引導を渡せなかったのが菅首相だ。大先輩の森氏に遠慮したとすれば、「人事の菅」は看板倒れとみられてしまう。
そこで、政界の一部でささやかれているのは、「安倍前首相の担ぎ出し」(自民幹部)だ。そもそも東京五輪を招致し、1年延期を決めたのも安倍氏だ。国際社会での知名度や外交実績は誰もが認めるうえ、安倍前政権は女性活躍を看板政策に掲げていた。「日本は女性蔑視」との批判を払拭するにはうってつけともみえる。
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