北米発の異変、デジカメ市場が想定外の大減速

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 事態が持ち直す気配はまだ見えない。部品メーカーの立場から、先行きを懸念するのはガラスメーカー大手のHOYAだ。同社はコンパクトデジカメ用の非球面レンズを手掛けるが、「11月後半くらいから受注が急に弱くなってきた」(鈴木洋社長)と打ち明ける。「1~3月期も悪くなる気配だ。今後いちばん不安なのは、子会社ペンタックスを含むこの事業」(同)と警戒感を強める。

 今回の北米不振は、一時的な需要調整にすぎないのか、それとも市場縮小の序章なのか。現時点では各メーカーとも成り行きを見守っている段階だ。確かに世界ベースで見れば、デジカメ市場は拡大基調。一眼レフタイプは依然好調だし、コンパクトタイプも中国など新興国での力強い成長が当分見込める。

 ただし、一部メーカーからは「今後もう北米市場は伸びないのでは」との悲観的な声さえ漏れる。「今回の出来事がコンパクトデジカメ市場のターニングポイントになるのでは」(デジカメ部品メーカー)という見解は少なくない。市場の成長率が鈍化していく中、キヤノンやソニーなど国内外で高いブランド力とシェアを握る「勝ち組」とそのほかのメーカーとの優劣は、はっきりしてくるだろう。

 高成長のおかげで、デジタルカメラ市場は多くの参入企業が利益を稼げる「最後の楽園」であり続けた。これは同じデジタル製品でも、莫大な設備投資を必要とし、価格下落も激しい薄型テレビなどとは対照的。一般にデジタル家電はわずかな上位企業だけが利益を刈り取れる「勝者総取り」。デジタルカメラも近い将来、ほかのデジタル家電と同様、統廃合の動きが出てくる可能性がある。落伍者が「楽園」を追われる日は近づいているのかもしれない。
(週刊東洋経済:桑原幸作)

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