菅首相、危ういワクチン&五輪頼みの政権運営

五輪中止論が急浮上、3月の聖火リレーが焦点に

2020年11月、来日したIOCのバッハ会長と会談する管義偉首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

新型コロナウイルス阻止のために発令された緊急事態宣言の期限が2月7日に迫る中、東京五輪・パラリンピックの中止・再延期論が内外で巻き起こっている。

菅義偉首相や小池百合子都知事らはそろって開催への強い決意を繰り返すが、国民の間では日を追って悲観論が広がるばかり。迷走してきた菅政権のコロナ対応は依然としてその場しのぎが目立ち、五輪開催への切り札ともなるワクチン接種も五輪開催までに国民全体に行き渡る見通しは立っていない。

すべてが神頼みの状況で、「いまや、コロナに打ち勝った証として五輪を開催するのは絵空事」(閣僚経験者)となりつつある。

ターニングポイントは「3月下旬」

菅首相がワクチン担当に抜擢した河野太郎規制改革相も、ワクチン接種のスケジュールをめぐる官邸や厚生労働省との調整で迷走。東京五輪組織委会長の森喜朗元首相も、周辺に「毎日、神に祈る気持ち」と漏らしている。

東京五輪開催の可否を決めるターニングポイントとなるのは3月下旬とみられている。3月25日には東日本大震災の被災地である福島を起点に全国を巡る聖火リレーがスタートするからだ。政府もそれまでに感染者数の大幅減少と高齢者へのワクチン接種を開始することで、「開催の最終決定に持ち込む方針」(官邸周辺)とされていた。

しかし、河野ワクチン担当相は27日、関係省庁などとの調整の結果として、「高齢者へのワクチン接種は最短でも4月1日以降になる」と明言した。一般国民への接種開始はこれよりさらに遅れることになり、五輪開始時には間に合わない可能性が高くなった。

政府としては、全国の感染状況をいわゆる「レベル2」まで抑え込み、夏までに第4波が起こることを阻止するのが基本戦略だった。しかし、多くの感染症専門家は「現状では、夏までに第4波が襲来する可能性が大きい」と口をそろえる。

それを避けるため菅首相はワクチン接種の早期開始に邁進しているが、「ほかにすがるすべのない『ワクチン一本足打法』」(立憲民主幹部)ともみえる。国会論戦で菅首相が「ワクチンを前提としなくても、安全安心な大会を開催できるよう準備を進めている」と語ったのは、五輪参加選手や同行者も含め、広範なワクチン接種のための医療態勢確保に不安があるからだ。

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