TiKToKで若者大ウケ「異色タクシー会社」の正体 苦境を打開するための大胆すぎる経営戦略

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三和交通の広報戦略は、TikTokにとどまらずYouTube(ユーチューブ)やTwitter(ツイッター)など多岐にわたる。

動画の撮影は営業所内で行われている(写真提供:三和交通)

1500人規模のタクシー会社ながら広報担当者が3人おり、これは業界ではかなり珍しい。興味深いのは、三和交通のYouTubeチャンネルだ。動画リストを確認すると、2桁台の再生回数のものから数万回を超えているものまで差が激しい。

それもそのはずで、配信内容は「激辛食を食べてみた」「大富豪やってみた」など、タクシーと関係ないものが大半だ。PR色がほとんど感じられず、いい意味でのくだらなさが徹底されている。

あまりの宣伝性のなさが逆に注目を集めたのか、昨年にはテレビ朝日の『タモリ倶楽部』で、「謎のタクシー広報動画!迷走する三和交通広報部!?」として取り上げられた。あえて肩の力を抜いた企画が、実際に多くのメディア掲載につながっているのだ。

お金をかけずにメディアに取り上げてもらう

営業面でも抽選倍率が42倍という心霊スポットツアー、新撰組ツアー、三億円事件ツアー、相談タクシー、SPタクシー、などユニークな企画を打ち出している。仕掛け人は吉川永一社長(43)だ。

「就任してすぐに、同業大手との比較でどうすれば乗務社員さん、乗客に選んでもらえるのかを考えました。その結果は『会社の知名度を上げるしかない』と。ところがテレビCMを打つお金なんかは、どう転んでもないわけです。それなら、お金をかけずにメディアに取り上げてもらうためのコンテンツを作っていこうと発想を変えました。

実際、心霊スポットツアーは初期投資の100万円に対して、テレビ番組やヤフートピックスなど広告費換算(自社推計)で3億円相当の紹介をしていただけた。だいたいのSNSや動画、企画・サービスは、僕が『面白い!やろう!』と言ったものを社員から『それは無茶ですよ』となだめられてきました(笑)。それが形になってヒットしたら面白いですよ。今でも一日5回はエゴサーチしますし、つねにSNSでの反応はチェックします」

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