米シティ日本法人社長「経営体制の効率化を重視 対日戦略に変更はない」
日興コーディアル証券と日興シティグループ証券を統合する計画です。旧日興証券と同じ形態に戻るだけでは?
シティグループが特に重要視しているのは、経営体制全体の効率化と簡素化。それと、お客様に迷惑がかからないことだ。
コーポレートガバナンス(企業統治)や内部管理を維持しながら、それらの条件を満たすには、日興コーディアル証券と日興シティグループ証券を一体化するのが、極めて合理的と考えている。
5月に統合する持ち株会社の傘下に銀行と証券を並列して収める計画です(2009年末までに)。この狙いは?
個人・法人を問わず、お客様のニーズは金融のいろいろな部分をつなげるようなサービスを求めるように変わってきている。グループ(の銀行や証券などの部門)を一体にして専門的な知識などを統合することで、それに応えるサービスを提供できる。金融商品取引法の改正案(今国会提出)で、銀行と証券の業務上の隔壁(ファイアウォール)が緩和される見込みだが、重要なのはお客様の利益だ。時間はかかるかもしれないが、さまざまなサービスを実行しながら、お客様の期待を満たしていきたい。
米シティ本体は05年に資産運用会社を売却しましたが、日興アセットマネジメントの扱いはどう考えていますか。
日本以外の国では資産運用ビジネスから撤退したが、日本では資産運用会社を経営していく必要性を感じている。日興アセットは日興グループの中で従来から新規株式公開(IPO)を検討しており、その戦略も変わらない。日興アセットの経営陣強化も図っていかなければならない。
金融市場の混乱が長引き、米シティ本体の損失が拡大しています。対日戦略に影響はないのでしょうか。
日本に対する期待や可能性についての認識、つまり対日戦略に変更はない。世界100カ国以上で事業を展開するシティの独特な立ち位置は、ほかに例を見ない。この国際的な営業基盤を生かして、日本のビジネスやリスク管理体制なども一層強固にしていく。日本におけるシティの新しい戦略は、5月9日に投資家に向けて公表する。
1月の株式交換で約26ドル相当の米シティ株を受け取った日興株主は、シティの株価低迷で含み損を抱えた状態です。
シティは日興との株式交換において、つねに情報の開示、透明性の維持に努めてきた。シティは昨年、東京証券取引所にも上場し、日本語で日本の株主の皆様に情報公開を始め、流動性の高い市場でシティ株の売買ができるようにもした。つねに株主の皆様に敬意を払っている。
(週刊東洋経済:武政秀明 撮影:吉野純治)
ダグラス・ピーターソン
1985年ペンシルベニア大学ウォートン校MBA修了、シティバンク入行。2004年シティ在日支店最高経営責任者。07年6月から現職。08年1月から日興コーディアルグループ会長兼社長を兼任。
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