家庭内暴力で母親をウザがる娘の対処法
家族同居は必ずしも最善の形ではない

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母性は他人と比較しない、羨まない

母性は不思議です。母親になった瞬間からわが子愛おしさに、何があっても子供を守ってやらねばという生き物の本能で、他人からみれば強そうに見えますが、ほとんどの母親は毎日が真剣勝負の全力投球、一所懸命の積み重ねです。

10家族あれば10通りの問題があり、打開策もそれだけあることになります。先の君子さんの家庭では母親が粘り強く、娘との衝突を恐れず追い込まず、絶妙の心配りで父親との仲立ちを続けました。このような時、娘さんが悪いのか父親が悪いのかという問題を解くことは解決策ではなく、とにかく時間と空間を開けて様子を見るのも、打開策の一つです。

父親も認めるべき非は認め、君子さんへの謝罪を繰り返したそうです。子供の心身の健康的な成育を第一に、遠回りのように思えても急がず焦らず、そして逃げずに正攻法で、親としての努力を惜しみませんでした。

私が今おりますロンドンのあちこちの湖の子連れの白鳥や鴨は、カメラを向けて近づくだけで、必ずグーッと喉を鳴らして威嚇してきます。子供に近づくなと言っているようです。

白鳥や鴨でさえといっては白鳥や鴨に失礼です。ヒト科の親から父・母性が喪失している、昨今の信じられない子供を守らない親のニュースを聞くにつけ、生き物の中でも人間の親だけが、子供を守るのに命を張っていないのでは、感じることも少なくありません。

君子ママのようにぜひ、子供と真剣勝負をなさってください。同居されるにしても別居されるにしても正しい方法は個別の事情によって変わってきますが、いずれにせよ、娘さんのことを想って、娘さんを愛しているからこそ、娘さんのために最善の選択をしたのだ、という純粋な愛情が娘さんに伝われば、時間と共に娘さんも、心を開いてくれるはずだと思います。

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ミセス・パンプキン 『最強の人生相談』『一流の育て方』著者

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立命館大学卒業。ビジネスパーソン向けの家庭問題・人間関係・人生相談の専門家として、東洋経済オンラインで2012年より執筆。最新刊は『最強の人生相談』(東洋経済新報社)。息子であり、『最強の働き方』(東洋経済新報社)の著者であるムーギー・キム氏との共著に、『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』(ダイヤモンド社)がある。ミセス・パンプキンへの相談は、こちらのメール、あるいは相談受付サイトで受け付けています。なお相談件数多数につき、過去に類似する相談があった場合には取り扱いません。ぜひ、これまでの連載をご参照ください。男性からのご相談も歓迎しております!

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