古城理事長によると、現在病院では新規入院患者全員にPCR検査を行っていても、入院後に1人だけぽつんと感染が確認されるケース(孤発的な感染)が増えているという。感染経路は職員からしか考えられない。市中感染が拡大したことで、患者よりもむしろ職員や出入り業者などからの感染が懸念される。「どんなに感染対策に気をつかっても、わずかな隙間を通って感染者が発生する」(複数の医療関係者)という。
「孤発的な感染が起こったときに、迅速に職員や患者全員に検査をして感染拡大を食い止めることが重要だ。それにはコロナ対応への慣れが必要になる。第1波の経験で、一定のノウハウが蓄積されたことは大きい。クラスターが起こった施設へ応援スタッフをグループ全体から出したため、グループ内でコロナを過度に恐れることはなくなった」(古城理事長)。
コロナから逃げ回っていてはいざというときのノウハウがないため、閉院の期間が長引くおそれもある。古城理事長は、病院の運営面とクラスターを食い止める安全面からも、コロナに向き合うことが大切だとみている。
積極受け入れが可能な3つの理由
このように、コロナ患者を積極的に受け入れる2つの民間病院に共通しているのは、①病院内やグループ内で人手を融通できる、②医療スタッフを疲弊させない仕組みがある、③補助金を活用して収益を維持しているということだ。規模の大きい病院は、病院内でもグループ全体でも医療資源を効率的に活用できる点で有利だ。
反対にいえば、規模が小さい病院では受け入れが難しい可能性がある。病院経営コンサルティングのグローバルヘルス・コンサルティングジャパン(GHC)が行った病床規模別のコロナ患者受け入れ病院の分析によると、200床未満の病院で受け入れが少ない。
GHCによると、入院が必要とされる中等症以上の患者への対応には、専門の治療に対応できる医師や通常の2~3倍の看護師数が必要だ。また、人工呼吸器やECMOなどの専門的な医療機器も必要になる。これらの体制が整備されている医療機関は、少なくとも200床以上の病院だ。
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