河井被告有罪で問われる菅、二階氏の政治責任 混迷気味の議員辞職問題、リーダー失格の声も
コロナ対応における度重なる迷走で、菅義偉首相が国会論戦で野党から集中砲火を浴び続けている。
その菅首相にとって「さらなる火種」(自民幹部)となるのが、2019年夏の参院選の大規模買収事件で有罪判決を受けた参院議員、河井案里被告の議員辞職問題だ。
1月21日の判決を受けて、野党はもちろんのこと、与党内からも案里被告の議員辞職を求める声が噴出している。同被告が議員辞職せずに控訴すれば、今後も議員歳費を受け取り続けることになるからだ。その場合、国民の猛反発は確実で、「次期衆院選での自民党への強い逆風になる」(自民若手)のは間違いない。
薄い「逆転無罪」の可能性
2019年の参院選広島選挙区(定数2)に自民党2人目の公認候補として案里被告を押し立てたのは、当時の官房長官だった菅首相と二階俊博自民党幹事長だったとされる。
それだけに、「(案里被告という)猫の首に鈴(議員辞職)をつけるのは菅、二階両氏の責務」(自民長老)と言えるが、2人とも「進退は個人の判断」と口を濁すばかり。いら立つ自民党内には「案里被告に引導を渡せないようならリーダー失格」(若手)との厳しい声も出始めた。
東京地方裁判所は21日、案里被告に対し、懲役1年4カ月、執行猶予5年(求刑は懲役1年6カ月)の判決を言い渡した。高橋康明裁判長は「民主主義の根幹となる選挙の公正さを害した」と断じた。
判決によると、案里被告は参院選前の2019年3~5月、夫で衆院議員の克行被告=公選法違反で公判中=と共謀し、広島県議4人に現金計160万円を配った。判決は、いずれの県議も案里議員を応援しており、政治資金の処理に必要となる領収書もないことから、現金の趣旨は買収だったとした。
「量刑を含め、大方予想どおりの判決」(司法関係者)で、案里被告が控訴しても「逆転無罪の可能性は低い」(同)との見方が大勢を占める。公判が続く限り、「推定無罪の原則から案里被告の権利は守られる」(同)が、国会議員としての進退は「まったく別問題」(閣僚経験者)だ。
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