河井被告有罪で問われる菅、二階氏の政治責任 混迷気味の議員辞職問題、リーダー失格の声も

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「政治とカネ」をめぐっては、2020年末に安倍晋三前首相の「桜」疑惑に関連し、安倍氏の公設秘書が罰金100万円の略式命令を受けている。さらに、吉川貴盛・元農林水産相が大手鶏卵会社から現金を受け取り、収賄罪で在宅起訴された。

一連の不祥事について、与党内からは「次期衆院選まで国民は忘れない。政府与党首脳が厳しい姿勢を示さなければ、政権への強い逆風になる」(公明幹部)と、不安の声が噴出する。

そこで当面の問題となるのが案里被告の議員辞職への道筋だ。さらに、案里被告が辞職しても、今回の買収事件の「主犯」とみられている克行被告が辞職しなければ、「(けじめは)不十分で、自民への逆風は収まらない」(自民幹部)。

後継候補をめぐる「複雑な事情」

仮に、両被告が3月15日までに失職か議員辞職すれば、4月25日に衆院広島3区と参院広島選挙区で補選が実施される。当然、議席の獲得を目指して各党が候補を擁立することになる。

与党としては、買収事件の逆風をかわすため、「一致結束して後継候補を支援するのが当然」(自民県連)のはずだ。しかし、両区の候補擁立をめぐる各党の事情は複雑で、「一筋縄ではいかない」(同)のが実態だ。

まず、衆院広島3区では、公明党が2020年11月に斉藤鉄夫党副代表(衆院比例中国)の擁立を決定した。先手を打たれた自民広島県連は、後継公認候補の公募手続きを急ぎ、12月8日に石橋林太郎広島県議を選任。同9日には広島県連会長の宮沢洋一・元経済産業相が二階氏と山口泰明選対委員長に、石橋氏を選任するよう要請した。

公明党は「買収事件を起こした選挙区で、後任の自民候補は応援できない」として、斉藤氏当選を目指して地元での選挙態勢づくりを進めた。これに対し、自民県連は「選挙区に後継候補を出さない選択肢はありえない」(幹部)として、石橋氏での候補1本化を求めて対立は深刻化した。

広島は伝統的に岸田派(宏池会)の牙城であり、公認争いには「ポスト菅」を狙う岸田氏のメンツもかかる。ただ、公明側は岸田氏が斉藤氏への1本化に反対すれば、「他選挙区の岸田派候補の支援は拒否する」と脅しをかけ、岸田氏周辺でも「党本部裁定しかない」との声が広がっていた。

最終的に「斉藤氏を広島3区の与党候補とし、石橋氏は比例名簿の上位」で妥協する方向が固まったとされる。これは、公明党の山口那津男代表が「斉藤氏一本化」を求めた段階で、最終的な決定権限を持つ菅首相と二階氏が黙認する姿勢を示したことも踏まえると、計算済みの動きともみえる。

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