前年比57%となった日産「リーフ」の息切れ感

年間1万台は悪くないが大胆なテコ入れが必要

同年5月にカスタム版となる「AUTECH」を追加し、7月には特別仕様「XVセレクション」を新設定。そして2019年12月にマイナーチェンジをした新モデルを発売開始。2020年7月には、「NISMO」も走行性能を高める改良が加えられている。日産もリーフを放置しているわけではない。

2017年のフルモデルチェンジから3年目となる2019年12月のマイナーチェンジは、定番のテコ入れといえるだろう。しかし、マイナーチェンジの内容をチェックしてみると、今ひとつパンチに欠ける。

メインとなるのは「プロパイロット」などのADAS系の洗練とコネクテッド系のサービス追加、9インチカーナビの標準装備など。一方で外観や走行性能に直接関係するようなものは、新色の採用とシャークフィンアンテナの標準装備程度にすぎない。新車効果も薄れた中でのテコ入れとしては、力不足だったのではないだろうか。

9インチ画面を採用するEV専用NissanConnectナビゲーションシステム(写真:日産自動車)

また、同時期に欧米から多くのEVが導入されたことも、リーフの販売に悪影響を与えたことであろう。

基本的にEVは、自宅の駐車場に充電用のコンセントがないと所有しにくい。車庫付きの戸建て住宅に住む人が顧客のメインターゲットになる。しかも、ガソリン車よりも高額なEVを購入するのは、いわゆるイノベーターと呼ばれる先進的な考えを持つ人だ。

つまり、そもそも購入意欲を持つ人が少ない。その限られた人を、フレッシュな輸入車EVとリーフが奪い合うのだから、競争は相当に厳しいだろう。そういう意味では、デビュー3年目のリーフは、もう少し力の入った何かを行うべきだったかもしれない。

年間1万台という販売台数をどう見るか

しかし、もうひとつの考えが頭をよぎる。それは年間約1万台という販売台数が、「売れてないという認識でよいのか」という疑問だ。

実のところ、2020年の輸入車EVの販売台数は、全ブランドを合計しても2812台しかない(日本自動車販売協会連合会・燃料別販売台数乗用車より)。この数字には、もちろんEV専業メーカーのテスラも含まれている。

また、9月に「ホンダe」を発売したホンダのEVは、427台。月間わずか120~180台という規模だ。一方、リーフは、イマイチと言われながらも年間1万1286台の販売で月販の平均は940台ほど。ライバルと比較してみれば、リーフの販売台数は多い。

ちなみに、リーフ誕生から5年目となる2015年12月に日産は、『「日産リーフ」、販売開始5周年』というリリースを発表している。

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