日本人が知らない太平洋の海底めぐる深い事情 日本とオーストラリア、デジタル社会での役割

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日本のNTTドコモは、2006年にグアムセルラーなどを完全買収し、グアム島にドコモパシフィックを設立し、インターネット、デジタルテレビなどのデジタルサービスを急速に展開している。2017年グアムを訪れた際に、案内されて驚いたのは、同社がマリアナ諸島をつなぐ海底ケーブル事業を展開させていたことである。

マリアナ諸島のような島嶼(とうしょ)部の海底ケーブルはこのように規模の小さな事業でも提供することができる。そして、地経学的にもう1つ重要なことは東京都の島嶼部海域は、500km南に位置する北マリアナ海峡島嶼部そしてグアムと排他的経済水域が接していることである。マリアナ諸島と日本は隣接している。

シドニー、日本が対地となる地経学的な意味

また、2020年7月には、チリからアジアをつなぐ長距離海底ケーブル受注の候補の中から、日本企業を含めたコンソーシアムが採択されたという報道があった。この際の競合の候補の1つは、当初、中国ファーウェイ・マリンでその陸揚げ対地は上海と香港だったと言われている。日本を含むコンソーシアムの採択が決定すれば、対地はシドニーとなり、JGAを介した日本も対地ともなる。この結末の地経学的な意味は大きい。

チリには、わが国の国立天文台のアルマ望遠鏡が標高5000メートルのアタカマ砂漠にあり、66台からなる集合型の電波望遠鏡の心臓部は日本のスーパーコンピューター技術と光ネットワーク技術が担っている。ここで生まれるデジタルデータの幹線がどこに陸揚げされ、どのようにアクセスできるのかは今後の情報技術産業の未来を左右する要素でもある。

2021年のオーストラリアでの活発な議論は、パプアニューギニア最大の電気通信会社デジセルの買収劇への政策的関与に関するものだ。デジセルは、フィジー、サモア、バヌアツ、ナウル、トンガなどの南太平洋諸島でも大きなシェアを誇り、ジャマイカに本拠地を置くモバイルサービス会社である。2020年半ばからこの地域でのサービス全体の売却を計画していると報じられた。

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