日本人が知らない太平洋の海底めぐる深い事情 日本とオーストラリア、デジタル社会での役割

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ここには、チャイナモバイル、ファーウェイ、ZTEを含む多くの中国の通信関連会社が興味を示している。南太平洋の島嶼域は、極めて多国籍となり、地理的にも安全保障的に重要な位置にある。この話題は電話からインターネットへと移行する通信事業そのものであり、これからの経済を担うデジタル社会に対する政策的な意味が強い。

デジセル社が旧式の技術で大規模な展開をしている点、ファーウェイ社の通信機器の大手顧客である点、それに対してオーストラリア政府が安全保障的な観点で民間資本の支援を計画している点、などを背景として政策的介入とその地政学的プレミアムという経済的な意義との間の議論が続いている。

オーストラリアと日本の新しい役割

オーストラリアと日本はタイムゾーンをほぼ共有する南北の地理的位置がある。このことはCovid-19で広く推進されたオンラインの連携業務には極めて重要となる。5時間程度の時差、これは社会の生活がリアルタイムでかみ合う限界の時間距離である。日本から見ると、アフリカ東海岸までとハワイまでがこのゾーンに入る。オーストラリアと日本は共通のタイムゾーンで同じ時間に業務と生活を共有できる新しい関係の中枢を構築しはじめている。

デジタル社会の地経学において、日豪が拓くそれぞれの新しい役割は3つある。

1つ目は、西太平洋を挟んだ南北2つの経済連携としてのマリアナ諸島を利用した東南アジア諸国とその海域、まさにインド太平洋のデータ動脈おける役割。

2つ目は、米豪の緊張する南太平洋島嶼に到来するデジタル社会への日本の地経学的な役割。

そして、3つ目として、これらのガバナンスを担当する日豪米の連携の構築に対する役割である。これらの役割の遂行には、わが国はオーストラリアと連携するためにも、デジタル社会のグローバルガバナンスの責任を遂行する体制を確立する必要がある。

(村井 純/API地経学研究所所長、APIシニア・フェロー、慶應義塾大学教授、慶應義塾大学サイバー文明研究センター共同センター長)

地経学ブリーフィング

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『地経学ブリーフィング』は、国際文化会館(IHJ)とアジア・パシフィック・イニシアティブ(API)が統合して設立された「地経学研究所(IOG)」に所属する研究者を中心に、IOGで進める研究の成果を踏まえ、国家の地政学的目的を実現するための経済的側面に焦点を当てつつ、グローバルな動向や地経学的リスク、その背景にある技術や産業構造などを分析し、日本の国益と戦略に資する議論や見解を配信していきます。

2023年9月18日をもって、東洋経済オンラインにおける地経学ブリーフィングの連載は終了しました。これ以降の連載につきましては、10月3日以降、地経学研究所Webサイトに掲載されますので、そちらをご参照ください。
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