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心身の大きな衰えが表に出るようになったのは、老人ホームに移って1年半経った頃のこと。2016年のゴールデンウィーク前に気力の衰えをこぼす日記を残している。
油絵を描くのをもう止めようと思いながら
今年も描きました。
一間きりの老人ホームで
不自由な狭い部屋で
50号を描くのは大変でした。
でも、今日出品しました。
29日に審査があります。
良い結果を期待しています。
さすがくたびれました。
百歳まで続ければと思っていましたが
駄目でしょうね。
(2016年4月27日「百歳までお絵かきできるかなあ?」より)
出品したのは『老人ホームのお餅つき』という作品。放美展(四国放送と徳島県美術家協会が主催する美術展)で優秀賞を受賞したが、これが遺作となる。5月に入って急激に体調を崩し、ブログの投稿もままならなくなって弟のsyunさんが代筆する投稿も見られるようになった。
自宅の品々を片付けたことを日記で報告
後にsyunさんは「姉の口癖は『百歳までは頑張る!』だった」と伝えている。しかし、幸子さんの心の中には感じるところがあったのかもしれない。5月6日、体調が優れないなか、残しておいた自宅の品々を片付けたことを告げる日記をアップした。
先日、前に住んでいた家の整理をしました。
沢山の思い出の品々を全て処分しました。
ただ、長年描き続けた油絵は
改めて見ると自分でも驚くほどの数になっていました。
一つ一つが思い出ですが、
中でもお気に入りの作品を小さなものから大きなものまで
額に入れて50点ばかり残しました。
秋にでもまた原画展を開くことができれば
一部披露できるかもしれませんが、
残りは近々、処分してしまうことになることでしょう。
それぞれの作品を描いた時の思い出が蘇ってきます。
今までの思い出は心の中に残して
今の新しい暮らしの思い出作りが始まって
はや、一年半になります。
(2016年5月6日「絵画の思い出」より)
この時点で94歳と半年。100歳まで生きるのは厳しいかもしれない。とはいえ、「秋にでもまた原画展を開くことができれば」と数カ月先を見据えているように、月単位週単位で考えれば時間的な余裕はまだあると感じていたはずだ。実際、翌日には体調回復の兆しもみえた。が、8日には再び悪化する。そして、その日の日記が本人による最後の投稿となった。
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