心身の大きな衰えが表に出るようになったのは、老人ホームに移って1年半経った頃のこと。2016年のゴールデンウィーク前に気力の衰えをこぼす日記を残している。
出品したのは『老人ホームのお餅つき』という作品。放美展(四国放送と徳島県美術家協会が主催する美術展)で優秀賞を受賞したが、これが遺作となる。5月に入って急激に体調を崩し、ブログの投稿もままならなくなって弟のsyunさんが代筆する投稿も見られるようになった。
自宅の品々を片付けたことを日記で報告
後にsyunさんは「姉の口癖は『百歳までは頑張る!』だった」と伝えている。しかし、幸子さんの心の中には感じるところがあったのかもしれない。5月6日、体調が優れないなか、残しておいた自宅の品々を片付けたことを告げる日記をアップした。
この時点で94歳と半年。100歳まで生きるのは厳しいかもしれない。とはいえ、「秋にでもまた原画展を開くことができれば」と数カ月先を見据えているように、月単位週単位で考えれば時間的な余裕はまだあると感じていたはずだ。実際、翌日には体調回復の兆しもみえた。が、8日には再び悪化する。そして、その日の日記が本人による最後の投稿となった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら