参院選に適用へ、民主党の公職選挙法改正案/課題と展望--解禁へ向け動き出したインターネット選挙運動[7・最終回]
インターネット選挙運動解禁についてのまとめとして、2010年に民主党が新たに作成した公職選挙法改正案と、その成立に向けての展望について述べてみたい。
2010年の民主党案議論過程
これまで民主党は都合4回、インターネット選挙運動解禁に関連する公職選挙法改正案を提出してきた。いずれも審議未了で廃案となってきたのだが、09年夏の総選挙で政権を獲得、マニフェストに本件を記載していたこともあり、今回、新たな公選法改正案を作成した。
その議論主体としては、民主党インターネット選挙運動解禁研究会(田嶋要会長、石井登志郎事務局長)であり、筆者もその一員として活動してきた。
研究会においては「どこまで解禁するのか」について、以下5つの争点を中心に議論が交わされた。それぞれの項目は、実は、まだ最終案としては固まっておらず、流動的である。したがって、現時点でも不確定要素が多いということを了承のうえ、記事を読んでいただきたい。
1)電子メールの取り扱い方
課題:オプトアウト(受信者の事前許諾が不要)方式とオプトイン(受信者の事前許諾が必要)方式、いずれを採用するのか
参考法令:特定電子メール法、改正商取引法
素案:
・原則オプトイン方式、ただし名刺交換など明示の許諾がある場合は送信可能にする。拒否通知をした者に対しては、送信不可。公民権の停止を含む罰則も検討中。
・選挙運動用電子メールである旨や拒否通知先などの表示義務も設ける。
2)誹謗中傷対策、なりすまし対策
課題:実効性ある対策とは? 各自治体選挙管理委員会の対応に無理はないか
参考法令:名誉毀損罪、侮辱罪
素案:
氏名・メールアドレスの表示義務は、候補者・政党のみに課す。