マクラーレン「GT」、2700万円の実力を徹底試乗 ゴルフバッグ2個が載るスーパースポーツ誕生

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しかし、このセットでも十分に高いスポーツ性能を発揮し、コンフォートモードでも限界点は到底感じることはない高いレベルにあることをお伝えしておく。一方、ドライビングモードを変更していけば、アグレッシブな走りのマシンへ変化を遂げる。コンフォートからスポーツ、そしてトラックモードにすれば、各ギアでの滞在時間が長くなり、結果的にエンジンを高回転までまわすことになる。

一度、アクセルペダルを踏み込めば、一気にV8エンジンの本性が現れる。3000rpmあたりから強大なトルクで加速をはじめ、最大トルクとなる5500rpm付近まで目にも止まらぬ速さで回転計の針が飛び上がる(東洋経済オンライン編集部撮影)

エンジンモードに合わせてサスペンションの減衰力は締め上げられて、コンフォートと同じクルマとは思えないほどにスポーツ性が高まり、本来の姿を表してくるのだ。ステアリングと同軸で回転するパドルシステムは、ハンドルを持ち変えることなくシフトアップ・ダウンの操作ができ、その際のオートブリッパー機構とのマッチングもなんら不満がない。

レーシングマシンの基本とも言える2WD後輪駆動ながら、トラクションコントロールのおかげで破綻することもなく、スリッピーな路面であっても安心感が高い。正確無比なトラクションコントロールは、介入に気づかないほど繊細な制御を行ってくれる。これ以上の動力性能確認は、FIM公認レーシングスーツにヘルメットの装備がほしくなるほどレーシーに変貌するのだから、このGTの懐の深さは計り知れない魅力に包まれている。

GTはラグジュアリースポーツの完成形

エレガントなスタイリングのマクラーレンGTは、決して派手すぎず、都会にも自然に溶け込む(東洋経済オンライン編集部撮影)

先にも触れたとおり、GTはエレガントなラグジェアリースーパーカーの極みだ。GTとはグランドツーリズモ。長い距離をラグジェアリーに、時にはアグレッシブに走りきる。ユーティリティーに優れたコンセプトは、目的地での活動を大きく広げるきっかけにもなるだろう。本当の贅沢な時間を過ごすために生まれてきたのがマクラーレンGTだ。

思えば20世紀の発展において、もっとも貢献した工業製品のひとつがクルマだろう。1883年、ダイムラーのガソリンエンジン着火成功から時を重ね、安全性と信頼性を高めつつ、世界中のマーケットで売買が行われてきた。クルマの登場によって関連する多くの周辺産業も高成長を遂げ、生産国でのGDPに反映されてきた。日々の生活でもクルマを使うことで、我々は時間を短縮し、行動の範囲を可能な限り広げてきたのだから、クルマという製品の人への貢献度は計り知れない。

そんなクルマも20世紀後半から生態環境への影響が懸念され、現在では何か突出したキーワードなくしてユーザー獲得が難しくなっている。総合的にユーザーの満足度をいかに高めていくか。成熟したクルマ市場で今回の「マクラーレンNEW GT」がどのような役割を果たすかも注目だ。

宮城 光 モータージャーナリスト

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みやぎ ひかる / Hikaru Miyagi

1962年生まれ。1982年鈴鹿サンデーオートバイレースに於いてデビュー3位。直後にモリワキレーシングと契約、1983年鈴鹿4耐で優勝、同年全日本F3クラスとGP250クラスに於いてチャンピオン獲得。1984年全日本F3クラス、F1クラスチャンピオン獲得。1988年HondaのHRCと国内最高峰GP500ccライダーとして契約。1993年より活動の場をアメリカに移し、全米選手権でチャンピオンになるなど、日本だけでなく海外でも活躍。1998年からは国内4輪レースでもその才能を発揮し、翌年の「4輪スーパー耐久シリーズ」ではチャンピオンを獲得する。また、世界耐久選手権シリーズ・鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2003年より5年間ホンダドリームレーシングの監督を務めた経験ももつ。2016年には米国ボンネヴィルにおいて4輪車の世界最高速度記録を達成、世界記録保持者。開発車両ではTeam無限のマン島TT参戦車両・2輪電動マシン「神電」の初期からの開発ライダーを担当し2018年時点で5連勝中、2019年もチャレンジする。一方では、警視庁及び企業向け交通安全講話やライディング&ドライビング講師、専門学校講師などのほかに、 日本テレビのMotoGP解説者や雑誌などのメディアでレースやバイクの解説を務めるなど、多方面で活躍中。ホンダ・コレクションホールではホンダ歴代の2輪4輪グランプリマシンの維持管理テストレーサーを務める。無類のラジコン好き。

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