マクラーレン「GT」、2700万円の実力を徹底試乗

ゴルフバッグ2個が載るスーパースポーツ誕生

エンジン始動後のアイドリングは、音量も抑えられており、住宅地での早朝出発も問題はなさそうだ。エンジンマップは、サスペンションと連動しており、まずは快適仕様のコンフォートで走り出す。それほど重くはないアクセルペダルを踏み込むと、7速DCTクラッチをかえしてスムーズに発進する。大きくは踏み込まなければいたって普通だ。

筆者の試乗風景(東洋経済オンライン編集部撮影)

驚かせられるのは、ブレーキタッチの違いだ。ブレーキペダルを踏む際に、ある程度の踏力は要求される。明らかに国産車両とは違い、ブレーキに対する設計思想の差を感じた。あくまでドライバーの踏み込む量に対して、忠実にその制動力が高まる味付けは、レースカー譲りのフィーリングだ。つまり、極低速時のブレーキディスクとパッドの作動温度が低い状態では、それほどの「効き」は感じにくいものの、高速領域では一気にそれらの温度が上昇するため、強靭な制動力が発生する印象だ。

ラグジュアリーカーらしい乗り心地

街中での走行では、7速DCTミッションが矢継ぎ早にシフトアップしていく。それは、あまりにもスムーズで拍子抜けするほどである。エンジン回転は2000rpmにも届かないあたりでシフトアップを繰り返し、あっという間に7速トップギアに入る。回転数が1500rpmを超えたあたりで時速100km/hだ。

3994cc V8ツインターボエンジンは、620psの出力と630Nmのトルクを5500rpmで発生するので、車重1530kgのマシンを走らせるのに何の負荷もかかっていないようだ。特にコンフォートレンジでの走行では、市街地において早めにシフトアップするので快適かつラグジュアリーだ。

高速道路や一般道路はもちろん、レンガ敷きのような凹凸の大きな路面でもしなやかな乗り心地が体感できる(東洋経済オンライン編集部撮影)

それをさらに演出しているのがサスペンションダンパーのセッティングだ。この味付けは秀逸で、ブラインドテストでGTの助手席に座らされ、クルマの車種名を問われれば、回答に困ることになるだろう。オプションの「リュクス」仕様のシートは、アグレッシッブではないものの、それなりにスポーティーだ。

シームレスにシフトアップするDCTミッションに、低回転域からトルクフルにまわるエンジン、サスペンションのスプリングレートと減衰設定が完璧にシンクロした味付けは、完全にラグジェアリーサルーンのそれだ。限りなく快適な乗心地に驚かされる。なぜなら、これはマクラーレンだからだ。市販車唯一無二のカーボンモノセルを採用し、620psのエンジンをF1カーと同じレイアウトで搭載したスポーツカーだということを忘れさせてくれる。それほどまでに落ち着いた乗り心地なのだ。

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