こんなことを言うと、「働くのが当然」という価値観の皆さんからしたら、違和感があるかもしれません。
でも、東大女子の進路は90年代前半までは、実は、専業主婦になる確率が高かったのです。なぜか?
それは、偏差値エリートの女子学生は、同じく偏差値エリートの男子学生と結婚する確率が高いからです。すると、経済的に共働きする必要性がないのですね。
こうした現象を、社会学では、「ダグラス=有沢の法則」と呼んでいます。妻が働くか働かないかは、資格や能力、生きがいややりがいでは決まらない、夫の経済力で決まる、と。身もフタもない法則ですね。
繰り返しになりますが、東大女子には90年代の初めまでは、比較的リッチなエリート男と結婚して専業主婦になるというオプションがありました。しかし、そのオプションは2000年代以降、きれいさっぱりなくなって、働くことが当たり前になりました。
力尽きるまで働いてしまう、東大女子たち
では、東大女子は、どんな働き方を選んだのか?
ゼミ生など、私が接触してきた東大女子学生の言ったことはこうでした。「東大女子には、総合職か一般職かの選択の自由などありません」と。総合職か、さもなくば採用されないか――。
あなたたち東大女子には、その二択しかありません。東大女子を一般職で採る企業なんてありませんから。使いにくいもんね(笑)。
では、総合職になった東大OGたちは、幸福になったのでしょうか?東大で教員をしていたとき、総合職何年生かになった卒業生が、ボロボロになって研究室に現れるのに出会いました。
だいたい、東大女子って、努力家で頑張り屋の能力主義者が多いから、体や心を壊すまで働いてしまいがちです。そこまでしてやるほどの仕事かって思うんだけど、とにかく総合職の女性は、ボロボロになるまで働かされる。それで、力尽きて、辞めてしまう人も多い。
総合職女性が会社を辞めるときの理由は、おしなべて「自己都合退職」になりますから、データとして正確な理由が上がらない。実際のところは、新入社員のときから毎日帰るのが夜10時、11時というまったく私生活のない状態で、将来的に結婚や出産することを考えると、「こんな生活、やっていられない」と言って辞めていく人が多いのではないでしょうか。
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