夫と同業なのはメリット?デメリット? 東大卒・出版社勤務夫婦の日常

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夫と同業なのはメリット?デメリット??

最後にプライベートの話。澤木さんは社内結婚であり、夫も同じく編集者だ。同業者同士の結婚に関して、メリットとデメリットのどちらを感じているのだろうか。

「デメリットは企画がかぶりやすくなること。夫婦は考えや情報源が似て来るので、『オレも同じ企画をやろうと思っていた!』なんて言われることもあります。同じ雑誌にいると牽制しちゃいますね」

雑誌さえ違えばライバル関係はなくなるので、むしろメリットのほうが多いようだ。

「仕事をわかってもらえるのは助かります。土日の取材や夜の飲み会が入っても、『行ってきなよ』と気楽に言い合えますし、『どっちのタイトルがいいかな』とか『こういう企画で取材先を探しているんだけど誰か知らない?』と相談することもしょっちゅうです」

コンサルタント時代に身に付けた仕事の速さによって、家事や子育ても「保育園のお迎えと子どもの夕食を義母にお願いしている」以外は自力で回せている。時短勤務ではないが深夜まで残業する日は少ない。

澤木さんの日常は子どもの起床に合わせて朝5時から始まる。掃除と洗濯は毎朝行い、夕食も出来合いの惣菜や冷凍食品はほとんど使わない。家事の3割ぐらいはやってくれる夫は、つねに立ち働いている澤木さんを見て「ひとり運動会みたいにバタバタしているね。外注してもかまわないよ」と言ってくれるが、専業主婦の母を見て育った澤木さんは、できるだけ自分でやりたいのだ。就寝は夜11時すぎ。本当はもう少し眠りたい。

「でも、専業主婦になるのは無理です。育休の1年間がすごくつらかったので……。毎日が同じことの繰り返しで、何も前に進まないんですよ。実家の母からは『毎日が同じじゃない。子どもは確実に大きくなっている』と諭されましたが、急に歩いたりしゃべったりするわけではありません。スケジュール帳は真っ白で、大人と話す機会がない。私には耐えられませんでした」

今でも保育園に子どもを送っていくと、「ママー、お仕事行かないで」と泣きつかれることがある。

「子どもはかわいいので胸がチクッと痛みます。ま、(仕事に行かないのは)無理ですけどね」

澤木さんはさらりと話す。家事はできるし家族は守りたい、同時にさまざまな大人とかかわり合いながら働くことをこよなく愛しているのだ。

「夫からはたまに感謝されますよ。『結婚してよかった。オレ、友だちはもういらない。君が奥さんであり親友であり仕事仲間でもあるから。いろんなことを相談したいと思えるよ』と言われたことがあります。うれしいかって? うーん、言われないよりはいいかな」

あくまで淡々としている現実主義者の澤木さん。こんな頼もしいエリート美女を妻にもらった男は幸せだと思う。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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