コロナ禍「歩行数が減った人」を襲う老化リスク 足専門病院の医師が語る歩くことの重要さ

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「正しい歩き方はひと言でいうと、効率よく怪我をしない歩き方ということになる。ただし人によって足の形や歩き方のクセは千差万別です。歩くという毎日やっている行動だけに、無理に矯正しようとして意識しすぎると、どこか別の場所に痛みが出るようなこともありうる。それよりアキレス腱伸ばしの運動で足を鍛えたり、正しい靴選びをするほうが、自然と正しい歩き方になってくることが多いですね」

人の足裏は平らではなく、土踏まずがあるアーチ状になっている。実はこのアーチが歩くときの衝撃を和らげているとのこと。ところがアキレス腱が硬いと、歩くたびにアーチをつぶしてしまい、ひいてはさまざまな足の痛みなどにつながるという。

正しい靴を正しく履くことが重要だ

そこで習慣にしたいのが、アキレス腱を柔らかくするアキレス腱伸ばし。壁に手をつき、足を前後に開いてから、後ろの足のかかとを地面に付けてアキレス腱を伸ばすこと30〜60秒。各足これを5回ずつ行うのが理想だという。

また靴選びも重要なポイントだ。「自分に合う靴選びのポイント」は以下の7つとなる。

●自分の足のサイズに合う〜シューフィッターのいるショップなどで足の計測を
●かかとがしっかり作られている〜足首が安定しやすい
●足指の付け根の部分のみで曲がる〜踏み返しの動作をする部分が曲がることが重要
●アウトソール(靴底)は硬くてしっかり〜柔らかいと疲れやタコの原因に
●試着時は歩く〜体重をかけることで足の形状が変わるため
●靴紐を結ぶ靴が望ましい〜紐靴は足の甲を固定し、足の動きを機能的なものに
●つま先には少しのゆとりを〜つま先は1-1.5cmのゆとりのあるサイズを選ぶ
※久道医師の著書『”歩く力”を落とさない!新しい「足」のトリセツ』より

靴の内部はスエードなど、足が前にすべりにくい素材が使われているのがベスト。足先に緩衝剤が組み込まれていたり、土踏まずの部分に膨らみがあるタイプも、足の前すべり防止に役立つ。また、市販の中敷きなどを活用するのもおすすめだという。

下北沢病院は、アシックスやグンゼなど企業とフットケア製品を共同開発しているほか、商品の検証や監修も行っている(写真:東洋経済オンライン編集部撮影)

こうして適切な靴を選んでも、忘れがちなのが「正しい靴の履き方」だ。同書によると、靴を履いたらまずかかとでトントンと地面を叩き、つま先のゆとりと、かかとが靴にフィットしていることを確認。ここで初めて靴紐を結び、足首をしっかり靴に固定させるのがいいそうだ。

コロナ禍で外出の機会が減り、歩行数が激減した中年世代の足は、思いがけないリスクを抱えてしまったよう。この機会に、将来の健康の要になりうる足の存在に、あらためて注目するのがおすすめだ。

福光 恵 ライター

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ふくみつめぐみ

東京都生まれ。フリーライターを名乗って四半世紀。美術、グルメ、アウトドア、犯罪、芸能、IT、ビジネス、ペット、ファッション、車など、さまざまな専門分野を目指すが、ことごとく挫折。現在、専門なしの薄く広いライターとして活動中

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