コロナ禍「歩行数が減った人」を襲う老化リスク 足専門病院の医師が語る歩くことの重要さ
多くの人にとって不便なく歩行できるか否かが生活の質を左右するが、歩行の問題はこれまで高齢者のものと考えられてきた。が、「歩行が制限されるようになったコロナ以降は、中年世代にとっての問題になっていくのではないでしょうか」。歩行数が少ない期間が短ければまだしも、コロナ収束にはしばらくかかると見られており、本来であれば毎日一定距離歩いているはずの中年世代が歩かなくなることの将来的なリスクは小さくない、と久道医師は見る。
歩行数の減少で一気にプレ老人になってしまわないために、何かできることはないのだろうか。まず減少した歩行数を補うべく「継続的に歩くこと」が、何より大切だと久道医師は言う。
「また自分の足に関心を持って、ときどき自分の足をチェックすることも大切ですね。色が違う、爪の状態が違う、毛の生え方が違うなど、左右の足に違いがあれば、何かトラブルのサインかもしれません」
自分の足に興味を持つことが大事
お腹や頭が痛いとき、たいていの人は何かの重大な病気ではないかと不安になって病院を訪ねるが、足の痛みだけは軽く見てしまうことが少なくない。靴のせいや歩き方のせいなどにして、病院まで受診する人はめったにいない。
「たかが足の痛みと思って、放っておく人がほとんどですね。一方で、爪の切り方や正しい靴選びの方法、また正しい靴の履き方など、足の健康を保つための基本を知らない人が多い。自身の足に興味を持ち、トラブルをできるだけ早く発見して回避できるようになると、コロナによる歩行減少で早まりそうなプレ老人化を、再び遅らせることもできると思います」
ちなみに欧米では一般的な足の専門医が日本で発達しなかったのには諸説あるそうだが、久道医師の仮説はこうなる。
「そもそも日本人が下駄や草履でどんな歩き方をしていたのか、日本人による記録はほとんどありません。のちには西洋から洋装とともに靴が入ってきて、また戦争が始まると兵隊の足の健康も注目されるようになるのですが、それまでは足に意識を向ける人が少なかったのではないかと考えています」
こうして自身の足に注目し、足の健康を保つためには、さまざまな方法がある。姿勢や歩き方を矯正する方法もメディアなどでよく紹介されているが、下北沢病院のような足専門の病院では、意外にも正しい歩き方を教えることはほとんどないのだという。
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