聴衆の意表を突いた、キャメロン英首相 田坂広志 多摩大学大学院教授に聞く(4)
毎年1月、世界のトップリーダー2500名がスイスの保養地ダボスに集まる「ダボス会議」。このダボス会議を主催する世界経済フォーラムのGlobal Agenda Councilのメンバーとして、毎年、この会議に出席しているのが田坂広志氏だ。
同氏は、ビル・クリントン元米大統領、アル・ゴア元米副大統領、トニー・ブレア元英首相、ゴードン・ブラウン前英首相、デーヴィッド・キャメロン英首相、ニコラ・サルコジ前仏大統領、アンゲラ・メルケル独首相、ウラジーミル・プーチン露大統領、さらには、ビル・ゲイツ・マイクロソフト共同創業者・元会長、ムハマド・ユヌス・グラミン銀行創設者など、数多くのトップリーダーのスピーチを聴いてきた。
では、同氏が出席してきたダボス会議で、最高のスピーカーは誰か。このシリーズでは、全4回にわたって、強く印象に残っている4人のリーダーの話術について、語ってもらう。
最終回は、キャメロン英首相のスピーチについて伺う。
キャメロンの「意表を突く戦略」
――田坂教授は、ダボス会議において、イギリス首相のデーヴィッド・キャメロンのスピーチも、しばしば聴かれたと思いますが、その印象は、どうだったでしょうか?
キャメロンのスピーチは、何よりも、2011年のダボス会議での、「首相としてのデビュー戦」のスピーチが、印象に残っていますね。
「鮮烈なデビュー戦を飾った、若き国家リーダー」
それが、デーヴィッド・キャメロン・イギリス首相の、最初の印象ですね。
もともと、ダボス会議というのは、国家リーダーにとっては極めて重要な会議なのですが、特に、就任したばかりの大統領や首相にとっては、世界のトップリーダー2500名の前で最初のスピーチをする「デビュー戦」という意味で、極めて重要なのですね。
しかし、このデビュー戦で、失敗した例もあります。
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