なぜ日本人は「有馬記念」を賭けてしまうのか

リスク嫌いでもギャンブル大好きの摩訶不思議

普通なら、ベッティングに入れるだろう。なぜなら、自分で勝ち馬を予想するのであるから、まさにその能力が問われるからだ。しかし、ロングマンの辞書にもあるように、競馬が運に支配されているか、されていないか、というのは解釈が分かれるところである。

そして、日本の競馬産業が大成功した理由は、競馬のファン層が若者、女性と幅広く受け入れられたことにある。彼らが馬券を買うのは、競馬をギャンブルと捉え、ライトなファンであっても楽しめると捉え、予想の力で勝負しようとしていないことにあるのである。

その結果、欧米では馬券の中心は単勝であり、勝ち馬を当てるという予想力がいちばん問われる馬券が人気であるのに対し、日本では3連単という3着までの順列を当てる、ギャンブル性の高い、つまり、配当も高くなるが、運の要素が最も大きくなる馬券が圧倒的に人気になっている。

これは、レース関係者は皆1着だけを目指して戦うため、1着は実力がほぼ反映されるが、勝ちに行って負けることになれば、2着も3着もそれ以下でも同じになるため3着にはこだわらない。その結果、3着には無欲の馬が来ることも多く、運が大きく作用することとなり、まさにギャンブル性が高い馬券が3連単であるからである。

「破滅の美学」が大好きな、不思議な国ニッポン

したがって、日本人は運が大好きだが、リスクをコントロールして、リスクを自分の力で少なくすることや、リスクをマネージすることが好きではない。その結果、リスクテイクが苦手であり、嫌いになっている、というのが私の解釈である。

こう考えると、リスクが嫌いなはずなのに、突然、社運を賭けて大規模な投資をして失敗する電機メーカーが多いことや、中小企業で倒産までギリギリ頑張ってしまうことも、逆説的に説明できる。

すなわち、リスクを支配しようとすることを忌み嫌い、その結果、マネージすることが苦手であり、同時にするべきでなく、自分はリスクと無関係に頑張ることを選択し、後は運に任せてしまう、という「破滅の美学」が大好きになってしまっているのである。

これが、日本人も日本企業も日本社会もリスクテイクが嫌いなのに、ギャンブル好きであり、かつリスクを無視してリスクを取りすぎて破滅し、そしてそれでも後悔しないとうそぶいている、という不思議な国ニッポン、の私の解釈である(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

次ページさて競馬コーナー。1年の総決算有馬記念の予想
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