京大教授の看護師が挑む「がん緩和ケアの究極」 心の領域にも踏み込んで、痛みを和らげる

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――研究はどうやって進めているのでしょうか。

大学では「スピリチュアルペイン・アセスメントシート」というものを開発しています。それを使って医療従事者をトレーニングし、彼らが現場で使えるようにする。そういった枠組みで、ケア方法を研究しています。

この研究は、きっちりしたRCT(ランダム化比較試験)を組めないんですが、科学に基づく方法論にかなり近い。シートには村田久行先生(京都ノートルダム女子大学名誉教授)が定義されたスピリチュアルペインの枠組みを使いました。人間の存在を「時間存在」「関係存在」「自律存在」という3つの軸でとらえる手法です。

これを現場で患者さんに使い、「苦悩があるかないか」「0か1か」みたいな形で聞きながら、苦悩がある場合はどんな苦悩なのかをアセスメントしていくんです。例えば、時間存在を考えれば、人間は終末期になると、「未来がなくなるので生きている意味がない」と感じることがある。それを評価するわけです。

人間の存在を「時間存在」という軸でとらえる方法。画像は『看護に活かす スピリチュアルケアの手引き』(田村恵子など編)より
「スピリチュアルペイン・アセスメントシート」の概念図。画像は『看護に活かす スピリチュアルケアの手引き』(田村恵子など編)より
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