「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由 看護師、病院の清掃員、保育士、教師…

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この原則にはいくつかの例外が存在する。医者の場合はそれを最もよく示している。医者の給与額は、とりわけアメリカでは、最上位を占める傾向にある。ところが、彼らは議論の余地なく有用な役割をはたしているように見える。しかしながら、医者ですらそのような例外には該当しない、と主張する医療従事者たちもいる。

例えば薬剤師は、ほとんどの医者が人類の健康や幸福にはごくわずかの貢献しかしておらず、いんちき薬(プラシーボ)の自動販売機と化しているという確信を持っていた。真偽のほどはなんともいえない。率直にいって、わたしにはわからないのである。

寿命が延びたのは公衆衛生の改善に起因

しかし、少なくとも1900年以降の人間の寿命延伸の圧倒的部分が、医療の発達ではなく、実際には衛生学や栄養学、そして公衆衛生が改善されたことに起因しているということは、しばしば引き合いに出される事実だ。

このことから、病院では(きわめて給与の低い)看護師や清掃員こそが、(きわめて高額の給与を受け取っている)医者たちよりも、実際には健康状態の改善により大きな貢献をなしているといえるかもしれない。

別の例外もわずかばかり存在している。例えば、水道工事人〔配管工〕や電気技師の多くはその有用さにもかかわらず、多くの報酬を受け取っている。それと、かなり無意味であるような低報酬の仕事もある。しかし、おおよその場合規則は該当しているように思われる。

とはいえ、社会的便益(ソーシャル・ベネフィット)とそれへの報酬とが反比例している理由は、まったく別次元の問題である。わかりやすい理屈づけもあるが、どれも的外れであるように見える。

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