FF7リメイク、異例の「500万本ヒット」の舞台裏

発表から約5年かけてスクエニHDが歩んだ難路

原作のディレクターにして、FFⅦリメイクではプロデューサーを務めた北瀬佳範氏は「10年ほど前から“FFⅦのリメイクはいつ?”といろいろな方々から会うたびに言われていた。それだけファンが多いため、開発するにも相当の覚悟が必要だった」と振り返る。

こうした声に応えるように、2015年6月にアメリカのゲーム展示会「E3 2015」で初めて作品が一般向けに発表された。ただ、外部の協力会社を複数介していたことで、相互の開発過程におけるコミュニケーションが煩雑になり、業務の流れが滞ってしまう。

発表から市場投入まで5年近くを要した

対策として、2017年には外部の開発会社と協力してゲーム開発する体制から、社内中心の開発体制に方針を転換。その後、浜口直樹氏が共同ディレクターに就任し、全体の統括業務を担当するようになったことで開発スピードが早まり、発売までの道筋が見えてきた。

北瀬佳範(きたせ・よしのり)。FINAL FANTASY Ⅶ REMAKEプロデューサー。スクウェア・エニックス取締役兼執行役員兼開発担当 第一開発事業本部 事業本部長(撮影:梅谷秀司)

開発人員を増やしつつ、量産化への準備を進めるなど、発表から市場投入までは5年近くを要することとなった。「当時のストーリーのボリュームのすべてを1度に実現しようとしたら、開発が膨大になってしまう。今できる範囲でしっかりと届けつつ、高いクオリティで遊べるということが何よりも重要だった。そこで、今回1作目のストーリーがここ(序盤の山場)までになった」(北瀬氏)。

分作となっても、FFⅦリメイクは最新のグラフィックでビジュアルを一から作成し、オリジナルの要素を加えたことで、近年のファイナルファンタジーシリーズの新作タイトルに近い規模の開発案件となったという。このようなソフトは「AAA(トリプルエー)タイトル」と呼ばれ、長い開発期間や大規模な開発人員を要するため、開発費もかかる。本作の開発費は非公開だが、一般的に、数百人規模で開発し、100億円以上の開発費がかかることもある。

巨大プロジェクトであり、原作には多くのファンがいることからも失敗が許されなかった今回のリメイク作品。ヒットを飛ばせた要因の1つは、メインターゲットに据えた「原作のFFⅦを遊んだことのあるユーザー」の取り込みだ。

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