FF7リメイク、異例の「500万本ヒット」の舞台裏 発表から約5年かけてスクエニHDが歩んだ難路
20年以上前に大ヒットを記録したゲームソフトのリメイク作品が、2020年のゲーム業界を賑わせることになった。
スクウェア・エニックス・ホールディングス(スクエニHD)から2020年4月に発売されたソフト「ファイナルファンタジーⅦ REMAKE(FFⅦリメイク)」が、発売から4カ月足らずで全世界の累計販売本数500万本超(パッケージ・ダウンロード販売の合計)のヒットを記録した。
ファイナルファンタジーは30年以上の歴史がある人気シリーズ。中でも今回リメイクされた原作「ファイナルファンタジーⅦ(FFⅦ)」は、シリーズの金字塔ともいえる作品だ。壮大な物語や魅力的なキャラクター、初代のプレイステーション(PS)における最先端技術が駆使された映像が話題となり、PSの販売台数増にも貢献。1997年の発売から世界累計販売本数は1280万本以上に達する。
売れ行きの観測はネガティブだった
同シリーズは日本国内だけでなく、欧米を中心に海外のファンも多い。2016年11月に発売された「ファイナルファンタジーXV(15)」も累計800万本以上を売り上げるなど、新作の発売には注目が集まることが多い。
ただ、今回ヒットしたFFⅦリメイクは、原作をプレイしたユーザーは結末を知っているリメイク作品。さらに、1本で完結せずにストーリーの続編が今後も発売される「分作」の1作目にすぎず、描かれているのは序盤の山場までだ。その販売価格を8980円(税込)と新作並みの高額に設定する異例の展開もあって、売れ行きは疑問視されてきた。
こうしたネガティブな観測を一掃するかのように、4月10日の発売からわずか3日で世界販売本数は350万本(日本国内は100万本)を突破。この新作並みのヒットが牽引する形で、スクエニHDの2021年3月期の中間決算は主力のゲーム事業が大幅な増収増益を達成し、同社の全体業績は売上高1727億円(前年同期比43%増)、営業利益316億円(同98%増)となった。
そんなFFⅦリメイクがヒットに至るまでは、決して順風満帆というわけではなかった。
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