FF7リメイク、異例の「500万本ヒット」の舞台裏 発表から約5年かけてスクエニHDが歩んだ難路

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当時は家庭用ゲーム機で遊んでいたものの、20年以上経ったことで生活環境が変わりゲームから離れてしまったユーザーにも、当時のPSから進化したPS4で遊んでほしいという狙いから、原作の懐かしさとリメイクとしての新しさの融合を重視。「原作で体験した部分は変えずに、当時の原作で表現しきれなかった部分を最新の技術で描写することで驚きを与えたかった」(浜口氏)。

浜口直樹(はまぐち・なおき)。 FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE Coディレクター(撮影:梅谷秀司)

例えばPS版では1つの視点からのみの描写だったが、PS4版では、上下左右さまざまな視点からキャラクターを操ることができる。そこで、20年以上前には表現できなかった街の構造の細部やキャラクターの表情をよりリアルにし、ゲームへの没入感を高めることができた。

「新しい世界観を届ける新作と異なり、リメイクはスタートとゴールが決まっている。どう再創作し届けるか、今の技術ならどこまで世界観を表現できるかを突き詰めた。ヒットしたことは私たちの自信につながった」と浜口共同ディレクターは話す。

コンセプトはトレンドに寄せすぎない

また、新しいバトルアクションといった要素を原作より増して、30~40代以上の原作ファンに新鮮味を与えつつ、1つ1つの動きの操作はしやすくした。ストーリーに行き詰まったときには、すぐにヒントが出てくるなど、久しぶりに遊ぶユーザーでも楽しめる工夫も施した。

一方、ゲームのコンセプトはトレンドに寄せすぎず、過去の体裁を貫いた。近年の家庭用ゲームは、プレーヤーが自由に動けるオープンワールドのバトルアクションゲームが人気だ。ただ、原作のFFⅦで評価が高かったのは、1本の映画のようにゲームを楽しめるストーリー性。リメイクの制作にあたり、ストーリー性を重視する概念は変えなかった。

ヒットを呼び込んだ要因はもう1つある。原作を遊んでいなかった若年層のユーザー獲得だ。その背景では、新しいバトルアクション要素の評価だけでなく、原作ファンによるSNSでの魅力発信が世代を超えて影響している。

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