Netflix「今際の国のアリス」高評価されるワケ 「土屋太鳳」がアクション女優として実力発揮

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クセの強いキャラクター設定が多く、デスゲームを成立させるための役回りのため、大袈裟な演技が必要とされたのだろうと理解していますが、一部、ながら見できる地上波ドラマの域を出ない演技が目につき、それが残念なところでした。世界190カ国に独占同時配信されたNetflixオリジナル作品をきっかけに、世界で注目度が上がった俳優が各国から輩出されているだけに余計に思います。

「新鮮度指数96%」海外からは高い評価

作品そのものに対する海外からの評価は健闘していると言えます。世界約40カ国・地域で総合TOP10入りを果たし、「日本発の実写オリジナルの中で過去最大ヒットを記録」とNetflixが発表しました。アメリカの映画評点専門サイト「Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)」では一般オーディエンスからの評価として「新鮮度指数96%」(2020年12月20日現在)を記録し、高評価を得ています。

「今際の国」で命を懸けた“げぇむ”に挑むアリス役の山﨑賢人(写真:© 麻生羽呂・小学館/ROBOT)

「Netflixに勧められるまま見てみると、今年見た中で最高のドラマシリーズになった」「退屈なシーンはほとんどない。SFファンにとって必見の作品」「英語圏の俳優の吹き替えが素晴らしい」などの絶賛コメントが続いています。また少数派ながら「ビデオゲームを見ているようで、退屈だった」という、正直なコメントもあります。

気になったのは「日本の作品なのであまり宣伝されていない」という声。世界各国でローカルオリジナル作品が続々と作られている今、埋もれがちになることは避けられない事実です。日本の映画やドラマをまったく視聴したことがないユーザーには届けられにくいのかもしれません。それでも、『今際の国のアリス』は漫画、アニメ、ゲームと親和性の高い作品であることが強みであり、その一定数のファンに向けて訴求されていくことで、可能性はまだまだ広がっていくのではないかと思うのです。

インパクトを与える渋谷スクランブル交差点を舞台に、知能、体力、心理戦のデスゲームを繰り広げるという日本らしさが詰まった作品であることも大きいです。シーズン2の製作が早くも決定したところ。2億近くに上る世界のNetflix会員の興味をかき立てる条件はそろっています。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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