このシーンが重要であったことはプロダクションノートで明かされています。「日本で一番有名な渋谷スクランブル交差点を登場させることに、(佐藤)監督はこだわった」と。
生きることの意味を失いかけていたアリスをはじめとする登場人物たちの葛藤を自分ごとのように感じさせる演出として、見慣れた渋谷スクランブル交差点に集約させたのではないかと思うのです。なぜなら、それによって、「今際の国」での生死と向き合うシビアな言動に意味があることを気づかせる効果を生み出しているからです。
また作品のPRでも憎い演出が施されていました。通常の作品であれば、目立つ場所にポスターが貼り出されるわけですが、渋谷の街に貼り出された『今際の国のアリス』のポスターの場所はどれもこれも人目のつきにくい所ばかり。東京のどこかにひっそり佇む“げぇむ会場”へと向かうアリスたちの息づかいを感じてもらいたい。そんな意図があるように思える粋な計らいです。
アクション女優としての実力発揮する土屋太鳳
げぇむを攻略していくキャラクターの中で、誰かしらお気に入りを見つけて楽しむことはこの手の作品の醍醐味です。イメージに合う配役がカギになり、その辺りも抜かりはありません。
なかでも、ウサギ役の土屋太鳳のハマリ度は際立っています。新鮮味のあるショートカットと健康的なタンクトップ姿が絶妙に似合い、クライマーという役柄でアクション女優としての実力を発揮しています。マンションをクライミングしたり、高速道路のトンネルを全速力で疾走したりと、圧倒的な存在感を見せてくれています。
ほか、キャスト陣も話題性が重視された顔ぶれです。アリスの親友のチョータとカルベ役には森永悠希、町田啓太、ストーリーのカギを握るチシヤ役には村上虹郎を起用しています。後半になるにつれ、登場キャラクターが増え、アン役に三吉彩花、ニラギ役に桜田通、クイナ役に朝比奈彩、ボーシヤ役に金子ノブアキ、ミラ役に仲里依紗など、劇場用映画や地上波ドラマで馴染みのある俳優が並びます。
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