尖閣周辺の領海を侵犯する「中国海警」の正体 漢字のイメージにとらわれてはいけない

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とくに、「海警法草案」では、中国海警は「法執行機関(国家行政執法力量)」である前に「海軍力」であることが明記され、「法執行機関であるのか軍隊であるのか」というそれまでの曖昧な存在から、「法執行活動をする軍隊」として、その属性を大きく変えた。

今回、このように中国海警の軍隊としての姿が明らかにされた一方で、いまだに、あるいは新たにいくつかの曖昧な部分が浮かび上がってきた。そこで本稿ではその曖昧な部分について考えていきたい。

名前は同じでも実質は大違い

中国海警は軍隊の編制上では「海警総隊」あるいは「海警部隊」と呼ばれている。その一方で、海上における「権益保護と法執行(維権執法)」を担う組織として「中国海警局」とも呼ばれている。しかし、中国海警局なる呼称は、「国家海洋局」に表裏一体として用いられてきた2018年以前の中国海警局とは名称こそ変わっていないが実態はまったく異なる。

2013年に誕生した「国家海洋局」と表裏一体の中国海警局は、「国家海洋局」の上位官庁である「国土資源部」とともに、一般警察を主管している「公安部」の影響を強く受けた「法執行機関」であることが強調されていた。これに対して、2018年以降、少なくとも法律上は2020年以後の中国海警は「法執行機関」である前に「海軍力」であることが明示された。

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