尖閣周辺の領海を侵犯する「中国海警」の正体 漢字のイメージにとらわれてはいけない

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尖閣諸島周辺に頻繁に出没している「中国海警」とは?(写真:fotoco/第11管区海上保安本部提供)
2020年に入って、尖閣諸島周辺の緊張が増している。白い船体に「CHINA COAST GUARD」と書かれた「中国海警」の船が日本領海にかつてない長時間とどまるなど、これまで以上に日本側への圧力を高めているためだ。彼らは何を狙っているのか。中国防衛駐在官(駐在武官)も務めた、自衛隊きっての中国ウオッチャーが精緻に分析する。

 

近年、尖閣諸島周辺に出没し、連日のように報道される「中国海警」であるが、最近その属性を大きく変えたことを、尖閣諸島を領有する日本社会は明確に理解しておく必要がある。

具体的には、中国海警が中国の海軍力(海上武装力量)を構成する一部、すなわち軍隊の1つであることを中国自身が明確にしたことである。

そもそも中国海警とは、それまで「中国漁政」や「中国海監」などの複数の機関に分立していた海上法執行組織が、「国務院機構改革・機能転換方案」に基づいて2013年、国土資源部国家海洋局の下に、中央政府である国務院と、中国のすべての軍事力を指揮する中央軍事委員会との双方の指導と指揮を受ける中国海警として再編された海上法執行機関であった。

2018年から武装警察の下部組織に

その後、2018年の中国共産党第19期中央委員会第3回全体会議(3中全会)で発表された「党と国家機構の深化のための改革方案」によって、この「中国海警」は国務院から分離され、あらためて人民武装警察部隊(武警)の下部組織として、中国共産党中央と中央軍事委員会の一元的な指揮を受ける組織へ改編されることが明らかされ、2年を経てようやく2020年6月、「人民武装警察法(武警法)」の改正と11月に中国の立法機関である全国人民代表大会(全人代)の常務委員会によって公表された「中華人民共和国海警法(海警法草案)」によって、その真の姿が立法化されることになったのである。

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