尖閣周辺の領海を侵犯する「中国海警」の正体 漢字のイメージにとらわれてはいけない

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「海警法草案」に規定された文章には奇妙な表現がある。

「中華人民共和国管轄海域は、中華人民共和国の内水・領海・接続水域・排他的経済水域・大陸棚、及び中華人民共和国が管轄するその他の海域を指す」(第74条第2項)

「管轄海域は、管轄する海域」とは何を指しているのであろう。このような恣意的に解釈可能な表現は、国際社会に無用な懸念を生じさせることになる。

中国が管轄権を主張する九段線によってそのほとんどの海域を覆う南シナ海や、沖縄トラフまでをも排他的経済水域であると主張する東シナ海などに対する中国の考え方を見れば、南シナ海や東シナ海のほぼすべての海域を中国は「管轄海域」であると考えていたとしても不思議ではない。

日本海でも活動する可能性

また、「海警法草案」では、漁業活動の保護や監督も中国海警の任務としているが、中国漁船の活動する海域が管轄海域であると解釈すれば際限のないものとなってしまう。近年、日本海の大和堆(やまとたい)で操業する中国漁船が多数確認されているが、これら中国漁船の監督や保護を目的として、近い将来、北朝鮮の要請を受け、あるいは要請がなくとも独善的に中国海警がその活動海域を日本海にまで拡大させる可能性は否定できないだろう。

当然、日本や国際社会が中国の主張を認める義務はみじんもない。しかし、国際社会では実効性の確保と既成事実の積み重ねが重要である。中国の主張を看過し、放置することはその主張を認めたに等しいことになることを忘れてはならない。

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