熟年離婚したら夫は妻に年金をどう分けるのか

別れる前に年金分割の取り分を知っておこう

会社員などの夫とその妻が離婚する場合、年金を受給する権利を2人で分割できる。それぞれの「取り分」はどう決められるか、知っていますか?(写真:sasaki106/PIXTA)

会社員として長く勤め、もうすぐ60歳。配偶者である妻はほぼ専業主婦。定年後の働き方や年金受給について夫婦で考えたいと思っていたところ、突然、妻から離婚を切り出された……。

「離婚したら、あなたの年金のうち、半分は私がもらいます」

もし、離婚するとなると、夫は1人で老後を迎え、年金生活を始めることになりますが、老後の主な収入である年金は、妻と半分ずつになるのでしょうか。「離婚時の年金分割」について、分割を受ける側の妻はもちろんのこと、分割される側の夫も知っておきたいところです。

「年金全体」の半分が妻に移ることはない

会社員として勤めてきた人であれば、将来受ける年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建てとなり、1961年4月2日以降生まれの男性、1966年4月2日以降生まれの女性の場合は、65歳から年金を受給できるようになります。

受給できる年金は年金加入記録に基づいて計算されることになっていますが、夫または妻に会社員としての厚生年金加入記録がある場合に離婚すると、その厚生年金加入記録(標準報酬)を分割することができます。婚姻期間中の夫婦の標準報酬を合計したうえで、最大50%ずつで分割する仕組みとなります。

これにより、標準報酬が多いほうから少ないほうへ移ることになり、夫は会社員期間が長く、妻は会社員期間が少ない専業主婦等であれば、夫から妻へ移ることになるといえます。

ここで分割の対象となるのは、年金額そのものではなく、標準報酬(標準報酬月額・標準賞与額)となりますが、これは将来の年金のうち老齢厚生年金の報酬比例部分の計算基礎となるものです。標準報酬が高ければ、負担する厚生年金保険料も高くなる一方、将来受け取る年金も多く計算されることになっています。つまり、2階建ての2階部分である老齢厚生年金が対象になります。

1階部分・国民年金制度の老齢基礎年金は年金分割の対象になりませんので、たとえ年金分割が行われることになっても、老齢基礎年金(2020年度満額78万1700円)はそのまま影響を受けることなく受給できることになります。そして、年金分割は、あくまで婚姻期間中が対象ですので、結婚前や離婚後の期間については対象になりません。

以上のように、年金分割がされ、夫から妻へと移ると、将来の夫の年金が減り、妻の年金は増えることにはなりますが、対象は厚生年金で、しかも婚姻期間中に限られることから、夫の年金の全体のうちの半分が妻に移ることにはなりません。

次ページ2人の合意で分割できる制度もある
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