熟年離婚したら夫は妻に年金をどう分けるのか 別れる前に年金分割の取り分を知っておこう
年金分割は、離婚後、年金事務所等に手続き(標準報酬改定請求)を行うことによってされますが、その年金分割には種類があり、「合意分割」と「3号分割」があります。
合意分割というのは当事者、つまり離婚した元夫と元妻の合意によって年金記録(標準報酬)を分割する制度です。婚姻期間中の両者の標準報酬(夫婦それぞれ現在価値に再評価)の合計(100%)のうち、もし分割前は夫が80%で、妻が20%だった場合、年金分割によってこれを夫50%、妻50%ずつを按分割合の上限として分割するようにします。
分割をする側(この場合の夫)を第1号改定者、分割を受ける側(この場合の妻)を第2号改定者といいます。上限が50%としてその範囲内での分割ですが、ほとんどの場合、元夫・元妻それぞれ50%ずつとして分割することになります。
もし、婚姻期間中、会社員期間が長い夫の標準報酬の合計が8000万円あり、会社員期間が短い妻の標準報酬の合計が2000万円であれば、夫婦の標準報酬の合計(100%)は1億円となりますが、分割後は夫も妻も5000万円ずつ(50%ずつ)になります。
合意分割の場合は、標準報酬改定請求の際、年金事務所等の窓口で元夫・元妻2人が按分割合について合意することになります。もし、合意が整わない場合は家庭裁判所の調停、審判等で按分割合を定めることになりますが、この場合、調停、審判等の後に元妻が1人で改定請求を行うことになるでしょう。
「3号」は合意不要で厚生年金の半分がもらえる
一方、3号分割は、年金制度上の扶養に入っている期間、つまり国民年金第3号被保険者期間がある場合に、元夫と元妻の間で合意なく、50%ずつに分割する制度です。
つまり、夫が会社員で厚生年金加入期間(国民年金としては第2号被保険者期間)、妻が専業主婦等で第3号被保険者期間の場合、当該期間中の標準報酬について、分割前は夫100%で、妻0%ですが、3号分割によって夫50%、妻50%ずつとなります。合意は必要ないため離婚後に第3号被保険者だった元妻の請求があれば分割されます。
なお、3号分割は制度が始まった2008年4月以降の期間が対象になりますので、それより前の期間は第3号被保険者期間であっても合意分割により分割することになります。
以上が合意分割と3号分割の仕組みです。両方に該当する場合は併せて請求を行うことになるでしょう。なお、合意分割も3号分割も離婚して原則2年以内が請求期限となっています。
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