プロ引退1年、森福允彦を今も支える2つの武器 ホークス、巨人に在籍し、33歳で戦力外通告

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中継ぎ投手として活躍した森福允彦は昨年オフに戦力外通告を受け、引退した(写真:TBSテレビ)
華やかなプロ野球の世界。活躍した選手には名誉と莫大な報酬がもたらされる一方で、競争に敗れ、表舞台から去りゆく選手がいる。そんな「戦力外通告」を受けた選手をドキュメンタリーで描いてきたのが、TBSテレビの『プロ野球戦力外通告』だ。
12月29日(火)夜11時10分からの放送回で通算17回目を迎えるこのシリーズ。プロ野球選手の姿は特別ではなく、誰の身にも起こりうる『究極のリアル』でもある。放送を控え、過去の番組に関わるサイドストーリーを取材班が5回にわたってリポートする。
第3回は森福允彦(もりふく・まさひこ)。2006年オフに福岡ソフトバンクホークスから大学生・社会人ドラフト4巡目で指名され入団。中継ぎ投手として活躍し、2016年オフにFA(フリーエージェント)権を行使して、読売巨人軍に移籍した。だが、巨人では結果を残せず、2019年オフに戦力外通告を受けて引退した。今は野球解説者として活動している。
第2回:元野球選手「ウーバー配達員」経て見つけた天職

引退してから初めての日本シリーズで見えたもの

2020年の日本シリーズ。福岡ソフトバンクホークスと、読売巨人軍との頂上決戦は、かつて球界の盟主とうたわれた巨人を、ソフトバンクが一方的にたたきのめすという図式に終わった。2年連続、同カードで、いずれもソフトバンクの4勝0敗。もちろん巨人はリベンジを目指して1年間、準備をしてきた。しかし星取りは同じでも、むしろ差が開いたのではないかとさえ思える一方的なシリーズに終わった。

ファンもメディアも、球界内部の人たちも、この結果に衝撃を受け、分析、評価をし、ああでもないこうでもない、の野球論を戦わせた。もちろんこれこそがプロ野球の存在意義であり楽しみだ。が、野球評論家でありながら「ちょっと複雑でしたね」と、周囲とは違った感覚でこの戦いを見つめていた男がいる。森福允彦だ。

2007年から10年間、ソフトバンクに在籍し、2017年から3年間は巨人のユニホームを着た。両チームを知る男。2019年限りで引退を決意し、今年から福岡に拠点を戻してテレビ、ラジオでの評論家デビューを果たした。勉強家だ。修羅場もくぐってきた。ソフトバンクの勝因、巨人の敗因、ポイントとなった試合や選手起用など、森福ならではの視点から、この実力差の理由を測っていたのではないか。

しかし本人はそれを、否定した。いや、たぶん正確にはそうした分析も無意識に行っていただろう。ただそれ以上に、引退して初めて見る日本シリーズ。しかも両方とも在籍経験のある球団だ。

どうしても「一緒にプレーしていた選手が多いので、どちらのチームを応援する、というのはありませんでしたけど、1プレー、1プレー、菅野が頑張ったら菅野に拍手しますし、千賀が投げれば千賀を応援していましたね」と、友人目線で元同僚たちにエールを送る自分がいた。

そして「一ファンとしての応援。野球が大好きで、全試合、本当に楽しかったですね」という、気付きもあった。

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