"NHK顔"の勝利? 「あさイチ」独走のワケ

視聴率3倍増の背景に、ダイバーシティ戦略

NHKの「あさイチ」から見てとれるのは、徹底した「顧客主義」です。ターゲットを主婦、それもNHK離れが進んでいた40代女性に絞ったと言います。この層に絞ってどんな戦略を立てたのか。分析してみます。

「あさイチ」が受ける3つの理由

まずひとつめは、「美人すぎないキャスティング」です。

この枠は長らく、美人女性アナウンサーが司会を務めていました。(男性アナウンサーは美男から美男すぎない人まではさまざま?でした)。ところが女性は美人には厳しいのです。しかも朝の連続テレビ小説で堀北真希さんや仲間由紀恵さんなど美人女優を見た後に、美人アナウンサーが出てくると若干お腹いっぱいになります。

そこで「美人すぎない」有働由美子アナウンサーと井ノ原快彦さん(V6)が起用されたのではないかと筆者は推測しています。2人とも何となく顔のつくりは似ているし、NHK顔。

筆者が考えるNHK顔とは、黒木メイサさんや阿部寛さんのようなエキゾティックな顔とは逆の「和風な顔立ち」のことです。親近感がもてて、なおかつ顔が主張しすぎないので番組やニュースの「コンテンツ」を邪魔しない……。そういうイメージです。NHKの看板アナウンサーである有働アナウンサーはその象徴ですし、井ノ原快彦さんについては、ジャニーズのアーティストの中でもトップランクのNHK顔なので、局のアナウンス室に座っていても何の違和感もありません。

とはいうものの、いくらNHKの視聴者に愛されるとはいえ、総合テレビの帯番組の司会に局のアナウンサーではない井ノ原快彦さんを選んだのは英断だったと、局内の人たちから聞いています。NHKには全国に数多くの優秀なアナウンサーがいるわけですから、タレントをキャスティングするのは、それ相応の論理が必要です。この壁を打破するのは、とても大変だったそうです。おそらく、番組を立ち上げたスタッフが「この枠を変えるのだ」という決意の象徴として起用したのではないかと思います。

2つ目は「朝の連続テレビ小説との徹底した連動」です。この連載の第1回でもお伝えしたテレビ朝日の「相棒視聴者を逃さない戦略」と同じです。朝ドラの内容を受けて番組が始まるのは恒例となりましたし、朝ドラ出演者をバンバン、ゲストに呼びますから、朝ドラファンの視聴者にはたまりません。

6月6日(金)のゲストは室井滋さん。「花子とアン」でヒロイン安藤はな(吉高由里子)の母親役を熱演しています。しかもこの日の放送は、室井さんの見せ場がとても多い日でした。「あさイチ」なのに、これでもか、これでもか、と「花子とアン」の映像が流れます。前半45分はほぼ室井さんのトークと「花子とアン」の映像でした。

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