出前館「圧倒的な急成長」の知られざる舞台裏 創業20年で2万弱の加盟店が今年だけで2.5倍に
狩野:配送員も料理をするほうもステップアップができる仕組みなんですね。
三神:将来拠点が広がっていく仕掛けができているのは、コロナで一気に出前を利用する“需要”が増えたからできることですね。対する飲食店側の考え方も同時に変わってきた。これもなかなか起こりえないことです。
狩野:コロナがなかったら生まれなかったかもしれない市場なので、ピンチをチャンスに変えている、ということですね。
藤井:われわれは、ユーザーと配送員と加盟店の3つでサービスが成り立っています。われわれが意図的に加盟店だけ増やしても、注文数やユーザー数、配送員数を増やすことは簡単ではありません。どこか1つだけ先行しても、ユーザーの意識が変わらないと発注も増えません。
コロナによってすべてが一気に変わったからこそ、事業拡大ができたのだと思います。
週の半分はデリバリーを頼むぐらいの日常化を目指す
狩野:1人当たりのデリバリーをする頻度を、今後どのくらい増やしていきたいですか。
藤井:週の半分くらいはデリバリーを頼むという“デリバリーの日常化”を考えています。
三神:デリバリーを週の半分も頼むと、単純計算で2日に1度になり食費がかかります。戦略はありますか。
藤井:配送員が1時間の間に配達できる件数を増やすことで、原価が落ちていきます。今は1時間のうちに配送員が2回も配れないのですが、配送効率を上げていくことで配送員が配達できる件数が増えれば、我々の配送原価が下がります。そこでわれわれが利益を取るのではなく、ユーザーや加盟店の手数料を下げていくと、より使いやすい値段で提供できるようになります。
また、リモートワークをしている企業が福利厚生として手数料を負担する動きがあります。リモートワークになることで、会社側は通信料や光熱費などにかかる費用の負担は減る一方で、個人の負担が増えます。これを会社が福利厚生で補うのです。われわれも企業向けに福利厚生用として、出前館のクーポンを発行しています。多くの反響をいただいているので、来年に向けて大きな事業化を考えています。
三神:コロナを機に、福利厚生は社員食堂でという時代が終わり、自宅に居ながらにして能率を上げ、さらに医療費も抑えようという新たなシフトも始まりました。「健康経営」の観点から従業員の栄養管理を本格化する企業も出始めています。企業側の意識も激変したことで現れた、新たな市場ですね。
(構成:二宮 未央/ライター、コラムニスト)
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