新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自宅にいる時間が増えた影響により、インターネットで料理を注文し、自宅に届けてもらうフードデリバリーサービスの利用がコロナ以前に比べて活発になっている。「出前館」や「ウーバーイーツ(Uber Eats)」のテレビCMをよく見かけるようになったことに、その一端がうかがえると言えるだろう。
NHK大阪拠点放送局が制作する
「ルソンの壺」は、12月20日の最新放送回(関西地域で7時45分〜8時25分)で、コロナ後の新しい生活様式「ニューノーマル」に挑む関西企業の取り組みを伝える。
今回はチェルカトラベル(京都市)、梅田白雲台(大阪市)、出前館(東京都渋谷区)、ネクステージ(大阪市)、副社長(大阪市)、OPSION(大阪市)の6社を取り上げた。このうち経済ジャーナリストの三神万里子氏と司会の狩野史長アナウンサーが、出前館の藤井英雄社長に伺ったインタビューを、番組本編に収まりきらなかった部分も含めてお届けする。
出前館は1999年創業。その名の通り、デリバリーサイト『出前館』の運営を柱とする。多様なジャンルの出前サービス店舗におけるインターネットショッピングを提供するほか、デリバリー機能を持たないお店の配達代行、デリバリー主体の新規飲食店の起業を支援する事業などを手掛けている。藤井氏は1976年生まれで今年6月に社長に就任したばかりだ。
メニューを増やして出前を“当たり前に”
三神 万里子(以下、三神):出前館は今年2月時点で2万件ほどだった加盟店の登録数が、今では2倍以上になっているそうですね。
藤井 英雄(以下、藤井):創業から20年かけて約2万店だったのが、今は4万5000店を超えています。昨年末から考えると、一気に2.5倍ほどになりました。
三神:このコロナ禍において、皆さんがそれだけ必要としているということですね。
藤井:欧米や中国、韓国、台湾などと比べて、日本はデリバリー市場の拡大がもともと遅れていました。こうした国々では平日の昼食あるいは夕食にデリバリーを頼む光景が日常的です。そうした流れは日本にもいずれやってくると言われていましたが、コロナがきっかけとなって加速しました。
飲食店経営者の意識は大きく変わっています。飲食店が「イートイン」と呼ばれる店内飲食だけに絞っていたら、今回のようなことが起きたときに弱い。デリバリーやテイクアウトは、従来は“イートインのおまけ”のような位置づけでしたが、今はこれを柱としてやっていきたいという飲食店が増えているのです。