国債は「国の借金」か--個人の草の根投資が財政規律を回復させる
もちろん、税金が無制限に高くなっていけば、個人の生活や企業の収益は苦しくなり、日本が非常に住みにくい国になることは事実です。その点では政府がどんどん国債を発行したツケは結局、国民に回ってきます。元利金についてデフォルトはないというだけのことで、その分、生活が苦しくなるのでは元も子もありません。
問題となるのは、先ほどの家庭の例を取ってみれば、父親の浪費癖が直らず、どんどんおカネを使い続けた場合です。当面は母親のへそくりや子どもたちのお小遣いを借りることでやりくりしていくでしょうが、その資金が尽きてしまった時、どうなるか。
その場合は、結局、家庭の外から借りてこなければなりません。そうなると優しい家族のように安い金利で貸してくれることはありません。厳しい現実にさらされることになってしまいます。
国債も同じです。いまは民間部門が国債を買っているので、海外で発行しなければならない状態ではありませんが、このまま借金が雪だるま式に増えていくと、いずれそうならざるをえないでしょう。
金利を払ったり、期限がきた国債の元本を払ったりするために、国債をどんどん発行せざるをえなくなる。現実はこのような状態に近づいていますが、これはちょっと怖い状態です。
外国で国債を発行するようになれば、われわれの税金が外国の投資家に金利や元本として支払われることになります。つまり、国内の余剰資金をすべて国債発行が吸収してしまった後には、まさに「ナニワ金融道」状態が待っているのです。
なぜ財政規律がなくなってしまったのか
しかし、またなぜ、日本はこのような状態になってしまったのでしょうか。