異才デザイナーの発想法と「仕事の哲学」 アンリアレイジ、世界への挑戦(後編)

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――両方に頭を下げて、双方をうまくまとめて、そこからさらにパターンに落とし込むとなると、かなり長い時間がかかっているのですか?

いや、でもファッションのサイクルでやるので、3カ月くらいでそれを全部やらないといけないんですよ。(注:東コレは、3月と10月の年に2回のペースで開催されている)

――もっと前からネタを仕込んでやっているのかと思っていました。

それがベストなのですけどね。1回、1回、全部を使っちゃうので。ネタというか、アイデアというか。終わって、次考えようってなっていますね。

――なるほど。ほかに、コレクションの服で大変なことはありますか?

この商品は、基本的に売り場泣かせなのです。(紫外線を浴びていないときは白いので)何色かわからないですし、色がずっと保つわけでもないのです。今の技術だと、500時間くらいが限界だから、外に出ている時間で換算すると、だいたい1年くらいなのです。デメリット(表示)もたくさんつけてあって。こんなの売れるのかっていう感じだったのですけど、これまたすごく売れたコレクションでした。

一方、ジレンマもたくさんあって、洋服は、ある程度の値段が決まっているので、それを大幅に外れてはいけないというのが、アイテムごとに細かくあるのです。Tシャツでその値段は高いとか、ジャケットだったらその値段でもいい、とか。そういう固定概念がたくさんあるから、その中で売るのはなかなか難しいですよね。

――その辺の苦労もいろいろあるのですね。ところで、これまでの服作りで失敗談とかはありますか?

失敗談は、たくさんあります。色が変わらなかったり、色が出ない、とか。すごくたくさんありました(笑)。

――トライ&エラーの連続だったのですね。

やっぱり、特殊なことをやろうとすると、洋服じゃない分野の技術が必要なので、そこの門をたたくのが、なかなか難しいですね。「ファッションか」というところからなので。

――異業種だと、なかなかファッションブランドを受け入れてもらえないのでしょうか?

最初は、門前払いが多いというか、本当にそれで洋服作る気あるのかという会社も……。洋服用ではないから、それがビジネスになるとも思ってない。

SS14、アンリアレイジは、ダイヤルを巻き上げることで、サイズを調節できるようにしたコレクションを発表した。
 

サイズ(↑動画)のときも、ダイヤルなのですけど、ダイヤルの会社が、「こんなの洋服につけてもね」というところから始まる。でも、そのダイヤルを使って糸を巻き上げるシステムをどうしても作りたいっていう話をしました。

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