「不登校は不幸ではない」といえる確かな理由

コロナ禍で増加する不登校の子どもたちの処方

自分が絵本を描いて人に認めてもらえた経験から『自己表現』できる場があれば、抑圧された感情を暴力ではなく表現に変えることができる。これにより負の連鎖を断ち切ることができるのではないか--。

中井くんはこの思いから2018年に、こどもがつくるこどものためのワークショップイベント「こどもばんぱく」を開催し1000人以上を動員した。その後2019年にも実施し、今年2020年もオンラインで開催した。

「学校以外に夢中になれることができて、僕は自分を肯定することができるようになりました。そして、いじめられていた時は『全人類誰も信じられない』という気持ちになっていましたが、人と協力しながらイベント準備を進めるうちに、世の中にはいろいろな人がいるし、助けてもらえることもたくさんあるのだと理解していくことができたんです」

学校に通わない選択があっていい

兵庫県立の特別支援学校に通っていたミウラタケヒロくんは、小学校から中学校にかけて不登校を経験した。ミウラくんは先天的な心疾患があるために、個別の対応ができるだろう特別支援学校へ入学した。

しかし、小学校3年生頃から違和感を覚え、6年生には1年間休み、中学校も1年生の2学期から完全に行かなくなった。そう語りながら、不登校は期間の問題ではないとミウラくんは付け加えた。

「『いつからいつまで不登校だったの?』という質問をよく受けます。そして、長期間だと『大変だったね』と言ってくださる。しかし、実は期間はあまり関係なく、1日でも学校に通えなければ辛いんです。毎日決められた通りに行くのが当たり前なのに、僕だけが行けないという自分を責める思いに期間はあまり関係ありません」

ミウラくんが、不登校になる原因は複数あった。特に「個別の指導」がなされないことに不安な気持ちが大きかったという。

例えば、味覚過敏で食べられないものが多いため、保護者がそれを一覧にまとめて学校に渡していたにもかかわらず、「一口でも食べなさい」という指導が続いたこと。ほかにも、心臓病のために長く歩く体力がないミウラくんだが、エレベーターの使用を認められなかったり、クラスメイトと同じような運動を求められたりしたことなどがあった。

「学校に行くか行かないか、ずっと迷い続けていました。『みんなは行っているんだ』と思うと、焦ったりイライラしたりする。もう親に決めてほしいと思うことすらありました。後から聞いた話ですが、母は学校に行かないことよりも僕が迷っている姿を見守ることが大変だったそうです」

中学2年生の時、そんな迷いが突然ふっと消えた。
「学校に行ったり行かなかったりする時期は、ずっと罪悪感を持ち続けていました。しかし、行かないと決めたら、学校ではできないことをしようという気持ちに切り替わっていきました」

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