親の収入が激減「中間所得層」の子供たちの苦境 奨学金は怖くて借りられないという声もある
コロナ禍の減収が教育費も圧迫している。苦境にあえぐ親と学生たちの悲痛な叫びは、高等教育費の負担を家計に押し付けてきたこの国の根本の問題を照らし出す。
コロナ禍で学費を負担できない親が増加
政府は5月、コロナで学びの継続に支障が生じる学生の救済のため「学生支援緊急給付金」を創設し、住民税非課税世帯の学生に20万円、それ以外で条件を満たす学生に10万円を給付した。4月からは「高等教育修学支援制度」で、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生を対象に授業料・入学金の減免と給付型奨学金の支給が始まっている。
だが、中京大学の大内裕和教授はこれらの制度で救われるのは「ごく一部の世帯」と指摘する。
「政府は修学支援制度を『大学無償化』などと喧伝(けんでん)していますが、減免対象は年収目安が4人家族で380万円未満です。これは全学生の1割程度にすぎず、『無償化』には程遠い。緊急給付金も同じく全体の約1割にしか恩恵がなく、コロナ禍に苦しむ多くの学生には支援が届いていません」
現在、4年制大学での奨学金利用者の割合は約半数で、2割程度だった1996年から倍増した。親が学費を負担できない中間層の家庭が相当数あり、コロナ禍でも放置されているのだ。