親の収入が激減「中間所得層」の子供たちの苦境 奨学金は怖くて借りられないという声もある

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今夏、全国の奨学金情報から条件に合うものを検索できるサービス「Crono My奨学金」を始めた高瀛龍(こういんろん)さんもこう話す。

「最も多い登録ユーザーは、年収500万~600万円で子どもが多い世帯です。この中間層が今いちばん苦しい思いをしています」

全国大学生活協同組合連合会 理事の矢間裕大(やざまゆうだい)さんによれば、11月から実施中のアンケートには、こんな声も届いている。

「コロナ禍で親の収入が激減。10月に募集のあった給付型奨学金を申請しようとしたが、審査基準が前年度の年収なので諦めた。今困っている人が利用できる制度にしてほしい」

家計負担の割合が高い

奨学金を受けていない層も楽とは言えない。大内教授は、数年前から奨学金返済の大きな負担が社会問題化し、「苦しくても親が貸与型奨学金を借りさせないケースが増えた」という。

「親からの経済的支援も受けられず、貸与型奨学金も利用できなければ、学生にとってはアルバイトが命綱です。それが第3波でさらに減少すれば、彼らはますます窮地に立たされます」

根幹にあるのは、教育に対する公的支出がOECD(経済協力開発機構)の加盟国中最低で、高等教育の家計負担の割合が高いという日本の教育政策だ。

学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」は、4月、国の責任で授業料を一律半額免除するよう訴えた。そのメンバーで東京学芸大学4年の奥田木の実さんと同大大学院1年の佐藤雄哉さんは、こう訴える。

「私たちが実施しているアンケートに苦境を訴える学生の個別の声は届いています。でも、全体を知るには限界がある。国として学生の置かれた実態を調査し、必要かつ抜本的な救済策を講じてほしい。教育を受ける権利を保障してください」

(AERA編集部/石臥薫子)

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