新型シビックが「北米だけ」で発表された理由 販売“超低迷"の日本で新型の発売はあるのか

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日本においてシビックは、かつてホンダの顔と言える存在であった。しかし、2000年代に「フィット」が登場すると、シビックは「高齢者のクルマ」のような扱いになり、人気は凋落。2010年代には、日本でカタログ落ちの憂き目にあう。

ところが、アメリカは違った。シビックは「アコード」とともに、ベストセラーカーとして売れ続けていたのだ。1973年に発売されて以来、1200万台以上が販売され、過去47年で、アメリカで売れた乗用車のトップ3に入るほどの成功を収めている。

日本ではカタログ落ちとなった2011年からは、アメリカでミレニアル世代(1981~1996年生まれの若年層)に最も購入されたクルマとなっている。さらにミレニアル世代よりも若い、ジェネレーションZにも注目度の高いクルマになっていたのだ。

そんな若者に大人気のクルマとなったシビックであるのだから、現行モデルのデザインは当然、若者向け。現行モデルは2015年にアメリカでデビューし、アメリカでは若い人たちの間でヒット。販売ランキングでトヨタ「カムリ」と、乗用車のトップを競う存在となり、年間30万台以上も売れている。

そんな大人気モデルのフルモデルチェンジだ。ロー&ワイドを強調した、さらに若々しいルックスになったことも当然のことと言えるだろう。

新型発表の前にセダンを生産終了した日本

シビックの日本での存在はどのようなものか。まず、2017年に日本に上陸した現行シビックの成績を振り返りたい。

2017年9月にセダンとハッチバックの2本立てで発売を開始。セダンは日本生産、ハッチバックは海外生産の逆輸入車だ。そこでのホンダが発表した販売目標は、月間2000台。何とも、ささやかな数字といえる。

ところが、このささやかな数字さえクリアできなかった。

日本で生産・販売されたセダンモデル(写真:ホンダ)

販売実績は、2017年11月:1088台、12月:1475台、2018年1月:1607台、2月:1542台。3月になってようやく2246台と2000台をクリアするが、その後は、1500台前後を推移。

2019年後半には、ついにランキング圏外に。そして2020年夏には日本でのセダンの生産・販売を終了。現在は、ハッチバックだけの販売となっている。つまり、年間で2万台も売れなかったのだ。毎年30万台以上を売るアメリカとは大違いという状況である。

個人的に不思議に思うのが、今度の新型シビックの発表が“アメリカだけ”で行われたことだ。

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