新型シビックが「北米だけ」で発表された理由 販売“超低迷"の日本で新型の発売はあるのか

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日本では、セダンの生産・販売が終了しているのだ。販売が低迷しているのであればこそ、新型が望まれるはず。ところが、今回の発表はアメリカのみであり、日本向けのリリースはなにもなかった。

これはいったい何を意味するのであろうか。可能性としては、いくつかの流れが予想できる。

まず、現行モデルと同様に、アメリカから遅れて日本に導入されるパターンだ。この場合、新型投入までの間は、逆輸入品となるハッチバックのみを売り続けることになる。ただし、ハッチバックを製造するホンダのイギリス工場は、2021年中の閉鎖が決まっている。つまり、逆輸入のハッチバックもそう長くは販売できない。

日本で販売されている現行のハッチバックモデル(写真:ホンダ)

そうとなれば、工場閉鎖まではイギリス製のハッチバックを継続販売し、その後はアメリカで生産される新型モデルに切り替わるというのが、順当な流れだろう。イギリスの工場閉鎖が来春以降になって、日本への導入がアメリカより遅くなっても、それほどおかしな話ではない。この流れであれば、そう遠くない将来に日本での新型導入の発表もあるはずだ。

もう1つ考えられる流れは、英国製ハッチバックの生産終了とともに、再び日本での販売を終了するというもの。日本におけるシビックの名声は高いけれど、実際に購入する人が少ないのは、過去3年を振り返れば、動かしようのない事実だ。

また、シビックはエンジン車が基本であり、ハイブリッドが存在しない。ハイブリッドカーの人気の高い日本では、それもマイナスに作用したはずだ。一方で、高性能なシビック・タイプRの人気は絶大だ。そこで、以前にもあったように、レギュラーなモデルの発売は行わず、タイプRだけ導入する。そんな可能性が考えられる。

ハイパフォーマンスバージョンのタイプR(写真:ホンダ)

シビックは今も“若者のクルマ”

ポイントとなるのは、日本の若者だ。なんだかんだと言っても、シビックは若者向けの商品になっている。古いシビックを知っている中高年のファンが現在のシビックに食指を動かさないのは、現行モデルの販売で証明されている。

新型が登場したとしても、その傾向は変わらないだろう。その代わり、今のシビックの本来のターゲットである若者たちが“欲しい”と思える存在となれば、また違った展開が期待できる。

若者にどうアピールできるのか。それがうまくいけば、新型シビックの日本上陸の日は近くなる。そして、日本におけるシビック復権の可能性も高まる。古いシビックを知るおじさんである筆者は、やはり「売れないシビック」などは見たくない。なんとか、日本の若者をシビックに振り向かせる方策を考えてほしいと思うばかりだ。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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