ふかわりょうが「タモリ」を心底尊敬する理由 力は抜くけど、いい加減ではないという塩梅
ある日かかってきた電話
「俺だよ、俺」
見知らぬ番号から着信があったので掛け直してみると、中年男性の声。そのフレーズに、ついに有名な詐欺に遭遇する日がやってきたかと警戒しました。
「俺だよ、俺、今何やってんの?」
酔っ払っているような、ふにゃっとした声。なれなれしい口調ではあるものの、いたずらや詐欺の類いではなさそうです。しかし、頭の中で結び付く顔がなく戸惑っていると、予想外の言葉が聞こえてきました。
「ほんとですか?!」
思わず、いすの上で正座になります。
「今何してるんだよ、今度飲もうよ」
どこか甘えてくるような猫なで声の主は、浮力の神様、タモリさんでした。
私がタモリさんと出会ったのは20代の頃。初めてお会いしたときは、この世に実在するのかと感動したものです。しかし、この世界に飛び込んだのは紛れもなくテレビの影響ですが、実を言うと、タモリさんに強い憧れは抱いていませんでした。むしろ、「お笑いビッグ3」のゴルフ番組では、どうしてほかの2人がボケまくっているのに、1人淡々とゴルフをするのだろう。面白みもないし、大人げない人だなと、ネガティヴな印象さえありました。
その意識が変化していったのは、私が『笑っていいとも!』に出演するようになってから。数カ月に一度のゲスト出演を経て、念願の曜日レギュラー。それは、われわれ若手芸人にとっては夢のステージ。ついに芸能人の仲間入りを果たした実感を得ました。当時の私は気に入ってもらおうと、生放送の後はタモリさんにくっついて、一緒に食事をするようにしていました。
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