名探偵が関係者を「全員集合」させたがるワケ 事件の解決は論理的に魅せることが大切だ

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真実は1つだから、一発で真相に到ろうと、さまざまな可能性を排除しながら真相に迫ろうと、事件を解決するという点では何の違いもない。だが、読者が受ける印象は圧倒的に違う。そして実は、10の可能性を挙げたからといって、あり得べきすべての可能性を検討したことにはならないのだ。本当は100ある可能性のうち、たったの10を考察しただけかもしれない。それでも、10から1に絞った方を、人は論理的で緻密だと感じる。

解決において、段階的にダミーの解決を示し、それらを排除していくのは、論理性を際立たせたいと思うなら、とても有効な手続きだ。

すべては伏線にかかっている

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これらの解決が際立つかどうかは、すべて伏線の手際にかかっている。推理の過程で出された手掛かりに関して、「そんなのあったっけ?」と思うか、「そういえば、そんな場面があった」と思うかで、納得度は大きく変わる。

読者はすべての伏線を覚えているわけではない。解決編で心がけるべきは、伏線を「思い出してもらう」ことだ。覚えてはいなくとも、その場面が何らかの形で印象に残っていれば、思い出すことはできるかもしれない。

場面として印象に残るようにと言ったのは、もちろん覚えていてもらうためだが、「思い出してもらう」ためでもある。

新井 久幸 編集者/新潮社出版部文芸第二編集部編集長

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あらい ひさゆき / Hisayuki Arai

1969(昭和44)年東京都生まれ、千葉県育ち。京都大学法学部卒。在学中、推理小説研究会、通称ミステリ研に所属していた。93年、新潮社に入社。「新潮45」編集部、出版部を経て、2010年から6年間「小説新潮」編集長を務めた。現在、出版部文芸第二編集部編集長。『書きたい人のためのミステリ入門』が初の著書。

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