2ちゃん創設者が訴える「お金教育」の必要性 学校を「就職予備校」にする必要はないけれど

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ただ、探している情報に要領よく行き着くためには検索力が大事。これからの時代、自分で必要な情報やデータを集められるというのは非常に重要なスキルになってきます。ところが、日本の教育ではおよそ検索力は身に付きません。というのも、暗記力ばかりが問われているからです。

しかし今の時代、暗記しなければいけないことはそれほど多くありません。友人や家族の電話番号ですら覚えている人は少ないでしょう。歴史的事件が起きた年号など、皆いろいろ覚えさせられたはずですが、例えば「大化の改新がいつだったか」が、大人になってから重要な議題に挙がることなどまずありません。百歩譲って議題に挙がったら、その場で検索すればいいのです。

「ペーパーテストの結果」だけを重視する教育現場

僕は日本とアメリカの両方で大学に通いました。日本の大学では、成績を決めるのはペーパーテストが大半です。ペーパーテストでいい点数を取るためには暗記が必要になります。一方、アメリカではレポート中心。研究テーマと、参考にすべき本のジャンルなどが提示されるだけなので、必然的に資料を探し出す能力が鍛えられました。

大学に限らず、教育現場では、教える側もその能力が評価されます。そして、とくに日本の場合、「教える能力」の評価基準は「生徒の成績」に置かれます。全国の小中学校を対象に、年に1回、学力・学習状況調査が行われていますが、各県ともこのテストでいい結果を出そうと躍起になっています。毎年、調査結果が発表されると、ニュース番組などで、「1位は〇〇県、最下位は△△県!」と大げさに報じられるからです。

生徒の成績が数字として表れてくるのでわかりやすいというメリットはありますが、それだけを重視していると、「テストでいい点を取らせる」ことが至上命題になってしまいます。本当であれば、「その子の人生でどれだけ役立つことを教えられたか」に着目すべきです。

ペーパーテストの結果というのは、その一要素にすぎません。でも、現状の受験システムや評価制度では、テストでいい点を取るための勉強に偏らざるをえないのです。

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